投資家の関心は受託サービスより医療サービス、バイオテックには依然慎重
BOCIは1週間に及ぶ「中国ヘルスケア・マーケティング」を受け、米中関係の不確実性から投資家が開発・治験などの受託サービスより、医療サービスセクターへの関心を強めていると報告した。半面、市場が不安定な中、利益見通しが明確さを欠くバイオテクノロジーに対し、投資家は依然慎重。短期的に見通しが明確な資産を選好する傾向が強まっていると指摘した。また、従来型の製薬会社は引き続きディフェンシブな投資対象と見なされており、2022年下期と2023年の決算内容やパイプライン強化に向けた新規の事業開発が焦点という。BOCIは業種別では、医療サービスを最有力視し、バイオテック、製薬、受託サービス、TAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)の順で選好。抗がん剤の創薬ベンチャー百済神州(06160)、バイオ医薬品開発の康方生物科技(09926)、病院経営の海吉亜医療(06078)をトップピック銘柄としている。
投資家は医療サービスセクターへの関心を強めているが、これは米中摩擦の影響を受けにくいことや、受託サービス、バイオテックと比べた事業の可視性の高さが理由。BOCIはこの分野で、がん放射線治療に強みを持つ病院経営会社の海吉亜医療と不妊治療クリニック経営の錦欣生殖医療(01951)のカバレッジを開始したが、投資家は生殖補助医療より、がん治療分野の長期見通しを楽観視していることが分かったという。うち海吉亜医療については製品候補群の拡充やM&Aの可能性、診療報酬の支払い方式の変更による影響などが注目ポイントだが、BOCIはうち、「RG/DIP(診断群別・診断治療法別)」の支払い方式の変更について、患者当たり単価の低下を予想しつつ、付加価値サービスの提供などである程度カバーできるとの見方。病院の新規建設・拡張やM&Aなどの効果を理由に、同社が2023年に、前年比26%増収、31%増益を達成するとみている。
一方、バイオテックに対しては、不安定な市場環境下での収益見通しの不明瞭さを理由に、投資家は引き続き慎重。ただ、BOCIは国際展開するバイオテックは中長期の成長期待が大きく、注目に値すると指摘している。グローバルなバイオファーマに成長する可能性や慢性白血病・リンパ腫治療用のZanubrutinibなどが2023年上期にも、米FDA(食品医薬品局)から承認される見通しに言及し、百済神州を有望視している。
受託サービス銘柄に関しては、売上高の高成長見通しにもかかわらず、米中摩擦や資金調達環境の冷え込み、新型コロナ関連の受注減、世界的な過剰設備、米利上げなどが影を落としている。ただ、BOCIは主要銘柄の好決算や米利上げの終了が風向きを変えるとみて、2023年半ば頃の急回復を予想している。
また、医療機器部門では、人工脊椎の全国集中調達の結果が予想より良かったことや、機器調達を目的とした中小病院向けの低金利融資の供与といった政策面がプラス。BOCIは投資家の関心が高まっていると報告している。