2022年7-9月期決算見通し、局地的封鎖下で新規事業が増収けん引へ

 散発的な新型コロナ感染を受けた局地的なロックダウンや中小企業向けのインターネット接続料の引き下げにもかかわらず、BOCIは中国の通信キャリアのサービス収入が2022年7-9月に前年同期比7.65%増加するとみている。行動制限の影響で、モバイルサービス収入が1桁台前半の伸びとなる中、新規の通信サービスや産業のデジタル化がさらなる収入増を支える見込み。クラウドなどの新規事業について前年同期比35%の増収を予想し、サービス収入全体の約20%を占めるとみる。また、2022年予想PER(株価収益率)6.1-8.0倍、同予想配当利回り7.5-8.1%という通信キャリア銘柄の魅力的なバリュエーションを指摘。マクロ経済環境が安定感を欠く中、チャイナ・モバイル(00941)が7-9月期に発表した自社株買いの再開も支援材料の一つになるとみている。

 BOCIの予想では、通信キャリア最大手、チャイナ・モバイルの7-9月期の純利益は前年同期比9.8%増となる見込み。ただ、最大の変動要因となるのは減価償却費。現時点では前年同期比15%増、前四半期比2%増の490億元を見込むが、より保守的な想定の下では、純利益が大きく上向く可能性がある。

 チャイナ・ユニコム(00762)に関しては、7-9月期に前年同期比6.6%の増益を予想している。従来型ビジネスに比べて利益率の低いクラウド・コンピューティングやIDC(インターネットデータセンター)、ビッグデータなどの新規ビジネスの発展により、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンは低下する見込み。半面、こうした新規事業は売り上げの伸びを後押しする可能性が高い。また、減価償却費に関する予想は前年同期比1%増、前四半期比12%増の234億元。モバイルネットワークやIDC、ファイバー伝送ネットワークへの投資の増加を織り込んだという。

 BOCIは10月後半の7-9月期決算の発表が通信銘柄の支援材料になるとの見方。セクター全体に対して強気見通しを継続した。局地的なロックダウンにもかかわらず、サービス収入および利益の健全な伸びを予想している点で、BOCIは相対的に楽観的。また、現在株価の魅力とチャイナ・モバイルの自社株買いの再開によるプラス効果を指摘し、個別では、通信キャリアのチャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコム、通信支援サービスの中国通信服務(00552)、通信塔運営の中国鉄塔(00788)の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを付与している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、政策面の変化を挙げている。例えば最近では、中小企業向けのネット接続料引き下げを政府当局が要請。これが固定サービス収入に影響する見通しとなった。