今日の為替ウォーキング

今日の一言

この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ。

I Don't Want to Miss a Thing 

 新型コロナは2020年3月と4月のたった2カ月間で、 2,156万人もの米国人の職を奪った。米雇用市場は、それを2年3カ月の月日をかけてのべ2,174万人増やし、今年の7月についに新型コロナ前の状態に戻すことに成功した。

 失業率は、新型コロナの感染が拡大した2020年4月には14.7%まで悪化したが、今は2019年9月に記録した過去最低水準の3.5%まで低下している。米雇用市場に関して言えば、新型コロナの影響は完全に消えたといってもよいだろう。

 米雇用市場が完全雇用状態まで復活したのだから、中央銀行が「コロナ戦時下モード」である超低金利政策を続ける理由もなくなった。FRBは今年3月から利上げサイクルに入り、9月までの利上げによって政策金利のFF金利を0.00-0.25%から3.00-3.25%まで引き上げた。パウエルFRB議長によると、この水準は、まだ引き締めの初歩段階だということである。

 FRBの法的使命(マンデート)には「雇用安定」だけではなく「物価安定」もある。完全雇用を達成したFRBは、雇用市場が好調なうちにインフレ制御に向かって邁進している。

 しかし、高インフレのもとでの雇用市場と金融政策の判断は難しい。インフレ制御のためには、過熱している雇用市場を冷まさなくてはいけないとパウエル議長は述べている。就業者数が急減して平均賃金上昇率の高止まりが続くなら、利上げを強めるのか。では逆に、就業者数増え平均賃金上昇率下がるなら場合は利上げを休止するのか。フォワードガイダンスが廃止されたことで、マーケットのボラティリティは以前に比べて高くなっている。

 米国でコロナウイルスワクチンの接種がまだ本格化する前、経済再開の見通しがまったく不透明な時期に、 FOMC(米連邦公開市場委員会)は、政策のフォワードガイダンスに関して重要な変更を行った。2020年12月のことだ。

 FOMCは、最大雇用と物価安定に関する金融政策の方向について、従来の「今後数カ月」といったような、期間を定めた定量的な指針から、「一段の著しい進展があるまで」という、数字では表わせない定性的な指針へと修正した。

 そして2022年6月のFOMCでは、フォワードガイダンスそのものを実質的に放棄してしまった。 FRBは、事前のガイダンスでは利上げ幅0.50%をマーケットのコンセンサスとして形成していながら、急遽0.75%の利上げに踏み切った。インフレの激しさがFOMCの想定をはるかに超えていたということだ。

 この時から、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策は、将来の経済動向を予測した「先出しスタイル」から、経済データの結果を見て判断する「後出しスタイル」へと変更になった。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成