今日の為替ウォーキング
今日の一言
金を稼ぐだけの仕事なら、それは貧しい仕事だ - ヘンリー・フォード
Shape Of My Heart
値上げの秋がやってきた。10月の食品値上げは8,500品を超え、単月での価格改定数は年内最多規模に達する。食料品だけではない。電気やガス料金、チケット価格から自動車、電車代まで、ありとあらゆる商品がこれから値上がりするのだ。
それでも日銀は、金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決定した。インフレを抑えるつもりは全くない。現在のインフレは継続することなく、来年以降は需要不足から鈍化するとの予測のもと、特別な対策は必要ないとの判断だ。
今から約1年前の2021年6月頃、パウエルFRB議長が「インフレは一過性(なので心配ご無用)」と、米議会で証言していたことを思い出す。その後何が起きているか。米国のインフレはFRB目標値の4倍まで跳ね上がり、いくら利上げしても下がる気配はない。
FRBやECB(欧州中央銀行)など世界の主要中央銀行が、インフレそのもの以上に懸念しているのは、インフレの「2次的効果(セカンド・ラウンド・エフェクト)」だ。2次的効果とは、石油製品や食料の価格上昇など、足元のインフレが人々の持つインフレ率の期待値を上昇させることにより、インフレがさらに上昇することだ。黒田日銀は、日本人の頭からデフレマインドを消去するために、日本にインフレの2次効果を爆発的に引き起こそうとしている。
インフレの不平等感は、所得格差が大きいほど大きくなる。それだけではなく、インフレの不平等性が所得の不平等を悪化させるのだ。
食品や日用品が一斉に上昇するなかで、ナショナルブランド商品よりも比較的安価なプライベートブランド商品を選んだり、普通サイズよりも単価が安い大容量サイズを購入したりして生活費を抑える工夫をしている家庭は増えている。
しかし、貧しい家庭は初期費用を持っていない。5キロの米を買うお金がないからコンビニのおにぎりを買う。安いものを買えば割高になるとわかっていても生活の全てにおいて選択肢がなく、結局損をする。
インフレは、高所得者よりも低所得者により厳しく、貧富の差をさらに拡大させるのだ。インフレの本当の邪悪さはここにある。しかし、政府は、 低所得者世帯への5万円給付で貧困家庭対策は完了したとして、インフレを高めることばかりに熱心である。