国際原油相場は高止まりか、中国石油メジャーではCNOOCに有利

 北海ブレント原油価格は需要懸念と米ドル高を背景に7月後半から24%下落したが、BOCIは悪材料が織り込まれたとの見方。10-12月には石油需要が回復すると予想した。供給サイドでは石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどで構成する「OPECプラス」が新たに減産を検討中。ロシア・ウクライナ戦争の激化やEU(欧州連合)による対ロ追加制裁が供給に影響する可能性も高まっている。BOCIは中国の石油メジャーについて、2社の自社株買いや現在の低バリュエーションを理由に、投資の好機を迎えたとの見方。セクター全体に強気見通しを付与し、引き続きCNOOC(00883)をトップピックとしている。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の原油需要はピークシーズンの10-12月に前期比1%増加する見込み。それにもかかわらず、海底パイプライン「ノルドストリーム」の損傷で、ロシアから欧州へのガス輸出はさらに落ち込む見込み。これにより、現地のガス需要の一部が原油に切り替わる可能性が高まっている。さらに、中国政府による景気テコ入れ策を受け、中国の原油需要も上向く可能性がある。

 供給面では、OPECプラスが10月5日の閣僚級会合で、新たに減産を協議するとのメディア報道が伝わった。最近の需要の萎縮と価格の下落が背景。

 ウラジミール・プーチン大統領 は当初30万人とした動員規模を増やす方向にある。ロシアが軍事作戦を強化し、戦況が激化すれば、ロシアからの原油供給に影響が及ぶ。一方、EUは対ロ制裁の第6弾で、2022年12月上旬までにロシア産原油の海上輸入を停止し、2023年2月上旬までに石油精製品の海上輸入を停止する方針。ロシアの原油日産量は2月の1,000万バレルに対し、8月は977万バレル。インドと中国への安値での輸出拡大がEU向けの減少を穴埋めしたが、残り140万バレル分の受け皿を見つけるのは難しい状況。

 中国の石油メジャーのうちCNOOCとシノペック(00386)は9月27日までに、4,480万株、5,440万株の自社株買いを実施した。発行済み株式総数に対する割合はわずか0.1%、0.2%(対H株総数)にとどまるが、少なくとも株価の下支え効果が期待できる。

 最近の香港株式市場の急落は急速な元安が一因だが、石油銘柄は事実上、米ドル建て資産を保有するために影響は限られる。北海ブレント原油の平均価格は年初からこれまでに1バレル=102.6米ドル。BOCIは10-12月期について92.3米ドルを見込み、ほぼ通年予想(同100米ドル)通りの水準に着地するとみている。

 個別では、原油生産に特化しているCNOOCが、原油高の恩恵を最も受けやすい。中国のメジャー3社の中で、原油生産量の一定の伸びが見込まれるのもCNOOCのみ(2022-24年の年率平均で5.9-6.4%)。BOCIはさらに、12.6%という同社の2022年予想配当利回りの魅力を指摘している。また、CNOOC以外にも、シノペックとペトロチャイナ(00857)のH株、A株の先行きについても、強気見通しを付与している。