モバイルゲーム苦戦も8月以降の回復に期待、2022年は初のマイナス成長か

 中国国内のゲーム市場ではここ数カ月、PCゲームとモバイルゲームが明暗を分けている。BOCIは2022年の国内ゲーム市場の売り上げ規模を前年比2%減と予想。モバイルとPCに関して、それぞれ4%減、4%増を見込む。政策面では、中国当局がゲームの配信認可を再開し、毎月安定的に認可番号「版号」の交付を行っている現状から、監督強化策による影響は段階的に和らぐとの見方。半面、欧州では「ガチャ(ルートボックス)」規制が議論されており、中国産ゲームの海外展開に影響する可能性があるとした。中国企業が開発したゲームの海外展開においては2021年10-12月以降、いくつかのマイナスファクターが生じているが、BOCIは向こう数四半期にわたる新規タイトルのリリースにより、こうした圧力はある程度和らぐとみている。

 ゲーム業界団体GPCと調査会社CNGによれば、中国国内のモバイルゲームの売上高は7月に前月比11%減、前年同月比20%減の146億元と、2020年以来最悪の水準に沈んだ。BOCIはマクロ経済の低迷や課金システムの新味の欠如による既存ゲームの低迷や、新たなヒット作の不在が影響したと指摘している。ただ、8月以降は回復に向かうと予想。新作の貢献や既存ゲームの拡張パックの投入、マクロ経済の回復、規制措置の緩和などをその理由に挙げた。7-9月のモバイルゲーム売り上げについては、前四半期比で1桁台前半から半ばのプラス、前年同期比では1桁台前半から半ばのマイナスを予想。即時の輸入タイトルの認可再開や話題作の認可取得は期待薄とみて、ヒット作登場というサプライズはないと想定している。2022年のモバイルゲーム市場に関しては前年比4%減の2,170億元を予想し、初めてマイナス成長に転じるとみる。

 対照的に、中国のPCゲーム市場は人気作の安定的なパフォーマンス、拡張パックの投入、プロモーションやeスポーツなどのイベント効果で好調。7月は前年実績が高いにもかかわらず、PCゲーム売り上げが前年同月比1%のプラス成長を確保した(前月比では5%増)。BOCIは7-9月、10-12月について前四半期比2%増、6%減を予想。2022年通年では前年比4%増の610億元を見込む。

 国内のゲーム関連政策では、細かな規制の影響は消化したとの見方。ゲームコンテンツの検閲や「ガチャ」などの課金システムをめぐり、一段の規制強化もあり得るが、影響は限定的との見方だ。一方、中国産モバイルゲームの海外売り上げに占める欧州の割合は10%未満だが、欧州でのガチャ規制を巡る議論は海外展開の障害になり得るとみる。

 海外市場での中国産ゲームの売り上げは、アウトドア活動へのシフトや米インフレ、欧州のエネルギー危機、新作リリースの不足、現地ゲーム大手の人気作投入などを背景に、2021年10-12月以降低調。今後の新作のリリースに伴い回復に向かうとみられるものの、ゲーム消費の萎縮が引き続き、足かせとなる可能性が高い。