2022年4-6月期決算は予想上振れ、コロナ禍続くも利益見通しやや明確に

 中国のインターネット企業の2022年4-6月期決算は、そろって市場コンセンサス予想を上回る内容だった。事業の最適化やコスト削減への努力が奏功した形。ただ、BOCIは新型コロナ感染の再燃やマクロ経済環境の不確実性を理由に、下期も業績面で不透明感が続くとみている。個別では、バリュー中心の提案が現在の市場環境にマッチしているとの理由で、有力ECのピン多多(米ナスダック:PDD)をトップピック銘柄に選定。ほかに、動画アカウントの収益拡大戦略を理由に、テンセント(00700)の広告ビジネスについて一段の上振れの可能性を指摘している。

 4-6月期にはネットセクターのカバー銘柄6社のうち、テンセントを除く5社の決算がBOCIの予想から上振れた。コロナ感染の再燃やマクロ環境面の逆風にもかかわらず、全般に質の高い業績内容だった。優れた経営手腕に加え、販売・マーケティング費の抑制に代表されるコスト管理の強化が奏功し、最終利益の変動率は売上高の変動率を上回る水準。非GAAPベースでは、前年同期比の減益率が縮小傾向を示した。

 6社の合計値を見ると、4-6月の売上高は前年同期比3.3%増で、うちピン多多が36.4%増。非GAAPの純利益は全体で8.0%減。ピン多多と美団(03690)が40.3%、161.2%の大幅増益を達成する半面、アリババ集団(09988、NYSE:BABA)とテンセントは31.5%、17.3%の減益だった。

 国内の政策の風向きはすでに変化し、ここ数カ月間は規制面のポジティブなシグナルが相次いでいる。景気減速圧力と消費低迷が続く中、プラットフォーム経済が景気回復のけん引役となり始めた。BOCIは規制の枠組みがほぼ固まったとの理由で、下期の規制圧力が和らいだとみる。一方、米国での中国企業の上場廃止問題では、米側による会計監査資料の検査を可能とし、上場廃止を回避する方向で、米中当局が合意済み。この先、実際に検査がスムーズに実施できるかが、最終合意に向けたカギとなる。

 散発的なコロナ感染が続く中、ハイテクハブの広東省深センや自動車生産拠点の四川省成都などで一定の行動制限が行われ、中国経済に影を落としている。消費の低迷は下期も続き、コスパ重視の購買トレンドがさらに鮮明となる見通しという。

 セクター全体の下期の業績について、BOCIはコロナ対策が売り上げの重しとなる半面、コスト最適化などの効果により、利益見通しがより明確になるとみている。さらに過去3年の平均値を下回る現在株価のバリュエーションを指摘。今後3年のEPS(1株当たり利益)の年平均伸び率を考慮すれば、今の段階で投資を考えることが可能なタイミングにあるとした。

 個別ではピン多多、テンセント、美団のほか、JDドットコム(09618、ナスダック:JD)、百度(09888、ナスダック:BIDU)、アリババ集団のADR(米国預託証券)を加えた6銘柄の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを付与している。