株式市場は先を見越して動くもの

 日本時間8月26日深夜、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がカンザスシティ連邦準備銀行主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演を行い、金融引き締めへの姿勢を再強調したことが株式市場の懸念となっています(当日のダウ工業株30種平均は1,008ドル下落)。

 パウエル議長の発言要旨は「インフレ抑制は家計や企業に痛みをもたらす」、「インフレ抑制が失敗するとさらに大きな痛みとなる」、「早期金融緩和は(過去の失敗例からみて)性急すぎてはいけない」、「インフレピークアウトには程遠い」、「9月の利上げ幅は今後のデータ次第」、「将来的には利上げペースを緩めることが適切」など基本的には過去のスタンスを踏襲したものですが、「インフレ抑制は家計や企業に痛みをもたらす」という部分がとくに嫌気されたものです。

 その後、8月29日にミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁がパウエル議長講演後の株価下落を容認する発言をしたことや、8月31日にクリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁が「2023年に政策金利は4%に達するだろう」とさらなる政策金利引き上げ見通しを示したことで米株市場は一段安となりました。

 マーケットには「米FRBはインフレ抑制のため、株価は下落することが望ましいと考えているのでは…」との疑心暗鬼も生じています。

 金融引き締め打ち止めを見通し、米株が高値を更新する動きとなると、主に富裕層に資産効果(株価など資産価格の上昇が、個人消費を増加させる効果)が生じ、活発な消費を通じてインフレ抑制に負のパワーとなるストーリーから言われだしたものです。

 しかし、株安が物価抑制の明確な要因となるのかどうかは不明です。株価波乱に慌てて、極端な悲観が支配的になると、このような疑心暗鬼の声は株式市場でしばしば耳にされます。今回もその類ではないでしょうか?

 年初からの米利上げは、その後米景気減速につながるとされ、東京市場ではまず景気敏感株(バリュー株)が売られ、独自に成長性を持つ成長株(グロース株)の出直りとなりました。

 今回の米株波乱において東京市場では、全般軟調に推移する中で、バリュー株の動きがグロース株に比べて良いように見えます。もしかすると、投資資金の動きが変化する端緒かもしれません。

 株式市場は実体の動きを先取りすることは言うまでもないことですが、その前提からすると、株式市場はすでに米景気減速懸念を織り込み、さらに先の局面=米景気回復を反映しているのかもしれないという見方です…頭の隅に置いておきたいと思います。

主力バリュー株

コード 銘柄名 株価(円)
7011 三菱重工業 5,307
5401 日本製鉄 2,251.5
6501 日立製作所 6,916
7201 日産自動車 525.7
8802 三菱地所 1,876
※株価データは2022年9月6日終値ベース。

三菱重工業(7011・プライム)

 日本最大の総合重機メーカーです。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

日本製鉄(5401・プライム)

 粗鋼生産量で国内首位、世界3位企業です。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

日立製作所(6501・プライム)

 総合電機の国内トップ企業です。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

日産自動車(7201・プライム)

 仏ルノー、三菱自動車と3社連合を組む自動車大手企業です。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

三菱地所(8802・プライム)

 総合不動産で三井不動産と双璧の企業です。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)