制限大幅緩和で訪日外国人増加の見通し
政府は9月7日(水)より入国者数の上限を5万人/日に引き上げ、さらにコロナワクチン3回目の接種証明があれば、入国・帰国者の出国前72時間以内の陰性証明書の提示が不要としました(発表は8月24日)。
これにより訪日外国人は増加すると思われ、インバウンド消費関連株に再び注目が集まりそうです。
過去にもコロナ感染収束局面で注目されることはあったものの、その後の国内感染拡大によって繰り延べになった経緯がありますが、今回の「感染第7波」については、感染者が過去最大になった時でも、政府による行動制限(まん延防止等重点措置、緊急事態宣言)が取られませんでした。
訪日外国人に対しても、後戻りすることなく制限の緩和が進んでいくものと思われます。
緩和直前の報道では、「水際対策の緩和が発表されてから国際線の予約が全方位的に伸びている。特に帰国時のPCR検査が不要となったことがトリガーになり、日本から海外に出る需要が増えた」(国内航空会社広報担当者)とのことで、8月25~31日の国際線発着便の予約件数は、緩和発表前の8月11~18日と比べて9月分が1.6倍、10月分は2.3倍に急増したとしています。
この動きは訪日外国人増加にもつながりそうです。インバウンド消費関連株は再評価される可能性が高いと見られます。ここでは過去において、インバウンド消費関連株として話題になった経緯がある銘柄を取り上げます。
インバウンド消費関連株
コード | 銘柄名 | 株価(円) | |||
---|---|---|---|---|---|
9706 | 日本空港ビルデング | 5,400 | |||
9616 | 共立メンテナンス | 5,500 | |||
2222 | 寿スピリッツ | 7,920 | |||
3088 | マツキヨココカラ&カンパニー | 5,260 | |||
9202 | ANAホールディングス | 2,600.5 | |||
※株価データは2022年9月6日終値ベース。 |
日本空港ビルデング(9706・プライム)
羽田空港国内・国際ターミナルビルを保有、施設利用収入や免税店運営が主力の企業です。
・1年日足チャート
共立メンテナンス(9616・プライム)
ビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテルを全国展開しています。
・1年日足チャート
寿スピリッツ(2222・プライム)
菓子大手で、土産やギフトの地域限定菓子製販会社を多数まとめています。
・1年日足チャート
マツキヨココカラ&カンパニー(3088・プライム)
都市型ドラッグストアの草分けで、訪日観光客に定番ブランドとして知名度があります。
・1年日足チャート
ANAホールディングス(9202・プライム)
国内航空最大手、国内線、 国際線とも首位です。傘下にLCCのピーチを擁します。
・1年日足チャート
株式市場は先を見越して動くもの
日本時間8月26日深夜、ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がカンザスシティ連邦準備銀行主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演を行い、金融引き締めへの姿勢を再強調したことが株式市場の懸念となっています(当日のダウ工業株30種平均は1,008ドル下落)。
パウエル議長の発言要旨は「インフレ抑制は家計や企業に痛みをもたらす」、「インフレ抑制が失敗するとさらに大きな痛みとなる」、「早期金融緩和は(過去の失敗例からみて)性急すぎてはいけない」、「インフレピークアウトには程遠い」、「9月の利上げ幅は今後のデータ次第」、「将来的には利上げペースを緩めることが適切」など基本的には過去のスタンスを踏襲したものですが、「インフレ抑制は家計や企業に痛みをもたらす」という部分がとくに嫌気されたものです。
その後、8月29日にミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁がパウエル議長講演後の株価下落を容認する発言をしたことや、8月31日にクリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁が「2023年に政策金利は4%に達するだろう」とさらなる政策金利引き上げ見通しを示したことで米株市場は一段安となりました。
マーケットには「米FRBはインフレ抑制のため、株価は下落することが望ましいと考えているのでは…」との疑心暗鬼も生じています。
金融引き締め打ち止めを見通し、米株が高値を更新する動きとなると、主に富裕層に資産効果(株価など資産価格の上昇が、個人消費を増加させる効果)が生じ、活発な消費を通じてインフレ抑制に負のパワーとなるストーリーから言われだしたものです。
しかし、株安が物価抑制の明確な要因となるのかどうかは不明です。株価波乱に慌てて、極端な悲観が支配的になると、このような疑心暗鬼の声は株式市場でしばしば耳にされます。今回もその類ではないでしょうか?
年初からの米利上げは、その後米景気減速につながるとされ、東京市場ではまず景気敏感株(バリュー株)が売られ、独自に成長性を持つ成長株(グロース株)の出直りとなりました。
今回の米株波乱において東京市場では、全般軟調に推移する中で、バリュー株の動きがグロース株に比べて良いように見えます。もしかすると、投資資金の動きが変化する端緒かもしれません。
株式市場は実体の動きを先取りすることは言うまでもないことですが、その前提からすると、株式市場はすでに米景気減速懸念を織り込み、さらに先の局面=米景気回復を反映しているのかもしれないという見方です…頭の隅に置いておきたいと思います。
主力バリュー株
コード | 銘柄名 | 株価(円) | |||
---|---|---|---|---|---|
7011 | 三菱重工業 | 5,307 | |||
5401 | 日本製鉄 | 2,251.5 | |||
6501 | 日立製作所 | 6,916 | |||
7201 | 日産自動車 | 525.7 | |||
8802 | 三菱地所 | 1,876 | |||
※株価データは2022年9月6日終値ベース。 |
三菱重工業(7011・プライム)
日本最大の総合重機メーカーです。
・6カ月日足チャート
日本製鉄(5401・プライム)
粗鋼生産量で国内首位、世界3位企業です。
・6カ月日足チャート
日立製作所(6501・プライム)
総合電機の国内トップ企業です。
・6カ月日足チャート
日産自動車(7201・プライム)
仏ルノー、三菱自動車と3社連合を組む自動車大手企業です。
・6カ月日足チャート
三菱地所(8802・プライム)
総合不動産で三井不動産と双璧の企業です。
・6カ月日足チャート
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