今日の為替ウォーキング
今日の一言
才能は拡張できないが、縮小を防ぐことはできる
Cum On Feel The Noise
新型コロナは2020年3月と4月のたった2カ月間で、米国の雇用市場から2,156万人もの職を奪った。それを今年の7月までにのべ2,174万人増やし、2年3カ月の月日をかけて、ついに新型コロナ前の状態に戻すことに成功した。
失業率は、新型コロナの感染が拡大した2020年4月には14.7%まで悪化したが、今は2019年9月に記録した過去最低水準の3.5%まで低下している。米雇用市場に関して言えば、新型コロナの影響は完全に消えたといってもよいだろう。
企業向け給与計算サービス会社のADPは、8月31日に8月の雇用データを発表した。いわば「民間」雇用統計で、BLS(米労働省労働統計局)の「官製」雇用統計に先行して発表されることもあって注目度が高い。
ADPは、BLS雇用統計との数値のかい離が大きくなったことを理由に、統計方法を修正したのだが、その新方式によると、8月は、市場予想の30.0万人増に対して13.2万人増と大きく下回る結果だった。ADPの分析では、米企業の採用は、これまでの「超アグレッシブ」モードから「通常」モードへ転換しつつあるという。
今夜9月2日は、BLSが8月の雇用統計を発表する。事前予想は、NFP(非農業部門雇用者数)は29.0万人増となっている。今回のADPの事前予想は30.0万人増で、結果はその半分以下の13.2万人増だった。BLS雇用統計もサプライズの弱い結果になるのか、マーケットの注目が集まる。
FRBの強気利上げは、雇用市場の強さが前提だけに、ドル高に調整が入る可能性もある。FRBメンバーからは積極的な利上げを支持する発言が相次いでいるが、フォワードガイダンスを放棄したFRBをマーケットは完全には信じていない。
8月雇用統計の詳しい解説は「ヒトの在庫減らしがこれから始まる!「働かない」から、「働けない」時代へ」をご覧ください。