先週の日経平均株価は米国で大幅な利上げが続く懸念から、前週比288円下落しました。8月26日(金)夜には中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長の発言で、米国株が急落。今週8月29日(月)から9月2日(金)の日本株はさらに大きく急落しそうです。
先週:ジャクソンホール・ショック!大幅利上げ継続懸念で米株急落!
26日(金)夜、米国株は「ジャクソンホール・ショック」といえる強烈な下げに見舞われました。ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は1,008ドル安。機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は前週比4%安まで急落しました。
引き金になったのは、米国ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウムです。
パウエル議長が行った金融引き締めに積極的なタカ派講演が株価に冷や水を浴びせました。
パウエル議長は、40年ぶりの物価高を抑え込むためには、金融引き締めを「やり遂げるまで、やり続けなければならない」と発言。
秋以降も大幅利上げを続ける意向を表明しました。
また「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」と述べ、秋以降は利上げ幅が抑えられるという楽観ムードが広がる株式市場に警告を与えました。
同じく26日(金)には、米国の7月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表されました。
※PCEデフレーターに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係
PCEデフレーターは、前年同期比6.3%上昇と伸び率が低下。前月比では0.1%の低下となり、インフレ鈍化が明らかになりました。
この指標を受け、26日(金)当初、米国株は上昇していましたが、そこに「(たった1カ月の改善は)インフレ低下を確信するにはほど遠い」というパウエル発言が伝わり、急激な下落に転じました。
一方、先週の日本株は、先々週まで大きく上昇してきたこともあり、反落。
22日(月)に、燃費や排ガス試験などエンジン不正問題がさらに拡大すると発表した日野自動車(7205)が急落するなど、主力の自動車セクターが下げました。
6月下旬以降、反転上昇が続いた東証マザーズ指数も反落するなど、新興の成長企業が多いサービス業や小売業セクターも売られました。
今週:週初めの株価下落は必至!?雇用統計など米国景気指標に注目!
26日(金)夜の米国株急落を受け、今週の日本株は大幅に下落しそうです。
焦点は、株式市場がパウエル議長の利上げ強行発言をどの程度の期間で消化吸収できるか。
大幅な利上げを続けるといっても、パウエル議長は9月20~21日に開かれるFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅について「今後のデータを総合的に判断する」と述べただけ。0.75%の大幅利上げは明示しませんでした。
今回の株価急落が市場の過剰反応、もっと言えば、7月8月の反転上昇後の単なる利益確定売りなのか、それとも大幅な下降トレンド再開につながるのかはまだわかりません。
週後半には早々にリバウンド上昇に転じる可能性がないとはいえないでしょう。
今週の経済指標では30日(火)にドイツの8月CPI(消費者物価指数)、31日(水)にフランスやユーロの8月CPIが発表になります。
※CPIに関して、詳しくはこちら:1分でわかる!インフレと株価の関係
ロシア産天然ガスに依存する欧州圏でも、米国同様にインフレ鈍化の兆しが見えると、市場は少し落ち着くかもしれません。
米国では30日(火)に8月の消費者信頼感指数、月がかわる9月1日(木)に8月のISM(米サプライマネジメント協会)の製造業景況指数、そして2日(金)には8月の雇用統計が発表されます。
※米国雇用統計に関して、詳しくはこちら:1分でわかる!雇用統計と株価の関係
秋以降の大幅な利上げ継続が一番の懸念材料のため、これらの米国景気指標があまりにいい数字だと逆に株価の下落が加速する恐れもあります。
前回の7月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比52.8万人増と予想を大幅に上回ったことで、逆に米国株は下落に転じました。
今回の発表でも、雇用統計が強すぎたとき、株式市場がどちらに反応するかに注目が集まるでしょう。
大幅利上げに耐えられるほど米国経済は強い、とポジティブに判断するか。
好調な雇用は、FRBが大幅利上げを続ける口実になると、ネガティブに評価されるか。
逆に、米国の景気指標が悪化した場合も同様です。
景気後退でパウエル議長が言うような強硬な利上げは続けられない、と前向きに判断されるのか。
大幅利上げが続いたことで、ついに米国経済が景気後退局面入りする、と悲観的にとらえられるか。
先行き不透明な時期には、先読みはせず、経済指標に対する株価の反応を冷静に確かめることが大切です。
今週からは9月相場が始まります。
順調な反転上昇が続いた7月、8月と違い、9月は急落やその後の急激なリバウンド上昇など、激しい値動きになりそうです。
その動きは9月13日(火)の米国8月CPIの発表まで続く可能性もあるでしょう。








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