2022年上期は実質17%減益、新規の動画インフィード広告が成長エンジンに

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

303.20HKD
(8/18現在)

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 テンセントの2022年4-6月期の非GAAPベースの純利益は前年同期比17.3%減の281億元と、市場予想を15.4%上回った。主にコスト構造の最適化が予想上振れの要因。同社は動画投稿アカウントでインフィード広告を始める計画だが、BOCIはエコシステムとの親和性の高さなどから、この新規事業を前向きに評価。現在の広告読み込み負荷の低さや適切に構築された新規システムが売上高の大幅な上振れにつながる可能性を指摘した(インフィード広告はSNSのタイムラインなどでコンテンツの間に違和感のないフォーマットで挿入する広告)。過渡期にあるゲーム事業、クラウド事業の低成長を反映させる形で目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 4-6月期の売上高は前年同期比3.1%減、前四半期比1.1%減の1,340億元と、ブルームバーグの市場予想とBOCIの予想を1.2%、1.5%下回る水準。売上構成比の変化を受け、粗利益率は43.2%へ2.2ポイント低下した。BOCIによれば、売上高の下押しはゲーム収入、中でも国際ゲーム収入の伸び悩みとクラウドビジネスの戦略的な見直しを受けた事業構成のマイナス方向への変化が、広告業務の予想以上の健闘(市場予想の26%減に対して18.4%減)を打ち消したため。一方、非GAAPの純利益は前年同期比17.3%減、前四半期比10.2%増の281億元と、市場予想とBOCIの予想を15.4%、13.7%上振れた。主に◇より統制の取れたマーケティング活動、◇クラウド業務の戦略調整と赤字縮小、◇帯域とサーバー費用の最適化――が寄与したという。

 動画投稿アカウント「視頻号」では7月から契約ベースでインフィード広告を始めており、8月末までに入札システムを導入する予定。既存のショート動画プラットフォームより競争力の高いeCPM(インプレッション単価:表示1,000回当たり広告費用)を提供するとしている。テンセントの「朋友圏(モーメンツ:万能アプリ微信内のSNS機能)」の広告負荷は現在、わずか2-3%。対して、競合する動画プラットフォームは14-16%。BOCIはインフィード広告に対するユーザーの許容度の高さなどから、動画投稿アカウントの負荷が今後5四半期内に、まずは「朋友圏」のレベルに追いつくとみる。

 BOCIは国際ゲーム収入とクラウド収入の減速見通しから、2022-2024年の予想売上高を0.7-1.2%引き下げたが、インフィード広告の始動を理由に、広告収入は3.1%、6.9%、8.5%増額修正。また同時に、売上構成比の変化やコスト管理の効果などを加味し、非GAAPの予想純利益を1.2%増、0.5%減、0.9%増と小幅に調整した。新たな予想値をベースに事業部門別の評価額を調整し、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き下げたものの、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては引き続き、ネットビジネスを標的とした中国当局の締め付けの可能性と、成果報酬型広告の一段の競争激化の可能性を挙げている。