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 FOMC(米連邦公開市場委員会)は7月会合において、6月会合に引き続き2カ月連続で0.75%の大幅利上げを決定した。政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利は 2.25-2.50%に引き上げられ、2月に0.00-0.25%だったFF金利は、約半年間で10倍になった。

 FOMC後の記者会見に臨んだパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、インフレ抑圧に対する強い決意を改めて表明し次回9月の会合では0.75%を超える利上げの可能性も排除しないことを示唆している。現在のシナリオは、9月に0.75%、さらに11月と12月にそれぞれ0.50%ずつ利上げして、2022年末のFF金利4.00-4.25%まで引き上げるというものだ。

 マーケットに対して、パウエル議長はとても重要なメッセージを伝えた。それは、下のFF金利の推移グラフでも明らかなように、米国の政策金利が、今回までの利上げによってようやく「中立ゾーン」に戻ったということである。

 2020年3月、新型コロナの感染拡大が世界経済に強いダメージとショックを与え、それまで完全雇用状態といわれていた米国の失業率は、一気に15%近くまで上昇した。FRBは緊急のFOMC会合を開き、他の中央銀行に先駆けて利下げに踏み切った。その後、ワクチンの開発供給などのおかげで世界経済は無事再開し、米失業率も新型コロナ発生前の水準まで戻った。しかし、政策金利の水準からいえば、FRBは新型コロナ以来の緩和政策を継続していたのだ。

 それが、今回までの利上げで、ようやくFRBも米経済の状況に追いつき、中立水準まで戻したということになる。それがパウエル議長のメッセージだ。言うならば、これまでの利上げは、引締めというより、コロナの緩和政策を解除した段階にすぎない。

 9月からの利上げは、FRBがいよいよ本格的な「金融引締め」ゾーンに入ることを意味する。

 ところが、米4-6月期GDP(国内総生産:速報値)は-0.9%となり、2期連続のマイナス成長となった。経済成長が「減速」しているだけで「後退」ではないとイエレン財務長官やパウエル議長は言うが、数字上は米経済が「リセッション」に入ったことを示している。

 パウエル議長は、米経済は減速しているが「雇用市場はまだ非常に力強い」と述べている。雇用市場が持ち堪えているのは米経済が大丈夫な印ということだ。しかし、頼みの綱である雇用市場に異変が起これば、「インフレ一番、景気は二番」政策による利上げそのものを見直す必要がでてくる。来月の雇用統計もフォーカスする必要があるだろう。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成