2022年上期はロシア要因で赤字見通しも市況回復が追い風、今後2年の業績を楽観

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

64.70HKD
(8/11現在)

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 中国銀行(03988)傘下の航空機リース大手、中銀航空租賃の2022年6月中間決算について、BOCIは純損失3億1,500万米ドルを予想している。ロシアの航空会社にリースしていた機材に絡む多額の減損損失の計上が赤字転落の主因。航空機17機の帳簿価額8億360万米ドルをゼロに減額するため、現金担保2億2,290万米ドルを差し引いても税引き前の正味評価損が5億8,070万米ドルに上るとしている。ただ、世界航空市況の段階的な回復を追い風に、中間期の売上高が前年同期比6%増加すると予想。減損損失を除く調整後純利益は5%増を見込む。また、赤字見通しにもかかわらず、1株当たり0.06米ドルの中間配当を実施するとの見方。ロシア絡みの減損損失はあくまで特別要因と指摘した上で、航空市況の持ち直しと航空機の供給過剰感の是正を受けた向こう2年の力強い利益成長を予想。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2022年上期に締結した航空機のリース契約は24機分だった(前年同期は26機)。同期に新たに取得した機材は84機。6月末現在、自社保有の機材総数は390機で、委託管理分が37機となっている。平均機体年齢は4.1年、平均リース残存期間は8.4年。前年同期は3.9年、8.3年だった。

 世界の多くの国が新型コロナ関連の渡航規制の緩和、あるいは撤廃に動く中、航空業界の復調は2022-2023年も続く見込み。国際航空運送協会(IATA)によれば、世界全体のRPK(有償旅客キロ:旅客数×輸送距離で算出する旅客輸送実績を示す指標)がコロナ前のレベルを完全に回復するのは2024年になる見通しという。

 BOCIによれば、同社にとって、世界航空業況の回復は大きな追い風となる。IATAの5月の報告によれば、中国を筆頭とするアジアの国内線業務の急回復を背景に、世界の国内線のRPKは6月にコロナ前の83.2%まで戻した。半面、国際線はアジア各国で足並みがそろわず、世界全体のRPKはコロナ前の65%程度だったという(国内・国際線を合わせると70.8%)。一方、貨物輸送は好調で、6月の輸送指標はコロナ前を小幅に上回る水準。IATAは航空業界全体の純損失が2022年に97億米ドルまで縮小するとみている(2020年は1,380億米ドルの赤字、2021年は推定420億米ドルの赤字)。

 BOCIは過去の経験を踏まえ、「航空会社は業況が底を打つと、機体の買い替えサイクルを加速させる傾向にある」と指摘。世界的な機体の供給過剰感の緩和や同社の手堅いビジネスモデルを理由に、2023年には利益が急回復する見通しを示した。2022年予想PBR(株価純資産倍率)1.25倍をベースに目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している(1.25倍はコロナ前の平均PBR並み)。一方、レーティング面での潜在的なリスク要因としては、新型コロナウイルスの変異により、抗体をすり抜けやすく、より重篤化しやすい変異株が生まれる可能性を挙げている。