今日の為替ウォーキング

今日の一言

多くのトレーダーは、長い年月と失敗を経て初めて、物事を単純に保ち、基本を見失わずにいるのかがどれほど大変な事かを思い知る。

I Was Made For Lovin' You

 米国の労働市場は、すでにオーバーヒート状態だ。

 雇用市場の強さは、米国経済が、FRBが利上げを続けるなかでも力強さを保っている証拠だ。それは重要なことだ。しかし、パウエルFRB議長の本音をいえば、「求人数が多すぎる…」。

 労働市場が均衡に近づくまで求人需要が減ってほしい。なぜか?高い賃金を提示して働き手を求める会社が少なくなれば、労働コストも落ち着くし、インフレ率も下がる。そうすればFRBは利上げペースを緩める余裕ができる。経済をソフトランディングさせられるかもしれない。

 しかし実際はどうか。少し前のことになるが、米ウォルマートは4月末までに5万人の従業員を募集していた。同社は昨年(2021年)9月に15万人という大量採用計画を発表していたが、十分な従業員集められずにいるようだ。

 労働者を確保するためには、競合相手よりも給料やボーナスを多く支払う必要がある。米国の平均労働賃金は、過去1年で+5.0%以上も上昇した。(ちなみに同時期の日本の平均賃上げ率はその半分以下の+2.1%)最近の調査によると、転職者の半数が10%以上の収入アップ、そのうち9%は50%以上もアップしたということだ。これら労働コストの大幅上昇は価格に転嫁され、インフレ率をさらに押し上げる。

 人手不足は深刻で、いったん従業員を解雇してしまうと次に見つけるのが難しい。だから、たとえ仕事がなくても人材を手元に置いておく会社も増えている。雇用者数が伸びていないのに、失業率が下がっているのは、「解雇は減っている」からだ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成