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 ECBは7月の理事会において2011年以来11年ぶりの利上げを決定した。
ECBは、政策金利(主要金利)は0.00%、貸付金利(上限金利)を0.25%、そしてデポ金利(下限金利)を▲0.5%に設定していた。今回0.5%引き上げたことにより、ECBはマイナス金利を一気に終了した。

 ECBが利上げを急いだ背景は、過去最悪の高インフレだ。ウクライナ戦争の長期化で、欧州のエネルギー危機は深刻化している。ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプラインであるノルドストリームは、来週にも再びストップするおそれがある。あと数ヵ月で欧州は冬だ。ドイツのガス料金は3倍に跳ね上がり、企業は「配給制」になるとさえいわれている。欧州のインフレがさらに上昇するのは避けらない状況だ。ラガルドECB総裁は、(輸入インフレを悪化させる)ユーロ安を止めることも大幅利上げの理由だったと語った。

 ECBはフォワードガイダンス(金融政策の指針)で0.25%の利上げを示唆していたが、それを逸脱する大幅利上げ実施したことで、中央銀行の信用が薄れ、マーケットのボラティリティを高めるというリスクも抱えることになった。

 急速な利上げは、経済的に脆弱な周辺国(イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ)をさらに追いつめる。ECBはユーロ圏内の国債利回りの格差拡大を防ぐため、債券市場介入手段としての「分断化防止策(TPI)」の導入を今回の会合で決定した。しかその基準は曖昧なままだ。ドラギ首相の辞任でイタリア国債が急落した場合、TPIが効果を発揮できるかマーケットは注目している。

 

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成