2.日本株には業績見通しを加味した割安感がある
前述したとおり、そもそも日本株は、業績見通しを加味したバリュエーション面で相対的な割安感を鮮明にしています。
図表2は、TOPIX(東証株価指数)ベースの12カ月先予想EPS(1株当たり利益/市場予想平均)をもとに算出した予想PERの推移を示したものです。
過去5年程度にわたるTOPIXの予想PERは、2020年末時点の21倍台をピークにして低下基調をたどり、現在は2020年春のパンデミック危機以来となる低水準(12倍前後)となっています。
外国人投資家だけでなく、国内投資家にとっても、日本株が「割安」と言える水準まで株価が下落してきたことが分かります。
米国株式動向を中心とする外部環境の改善(リスクオン)次第では、TOPIXの予想PERが持ち直す可能性があり、年後半に株価が戻り歩調に転じる可能性が期待できると思います。
<図表2>日本株の予想PERはコロナ危機以来の低水準
株価予想は、予想PERと予想EPSの積(掛け算=PER×EPS)で試算されます。
上述したとおり、予想PERが約12倍の低水準にとどまっている一方、業績見通しを示す予想EPSは拡大傾向となっています(図表3)。
TOPIXの12カ月先予想EPS(市場予想平均)は、2020年をボトム(底)に回復基調をたどり、2021年に2018年の水準を上回ると、最近は過去最高益を更新するに至っています。
過去12カ月実績EPSに対しては約13%の増益が見込まれています。
為替の円安進行、供給制約の緩和、内需の回復、自社株買いなどの効果を考え合わせると、当初は慎重に見積もられがちな企業の業績見通しが、今後の決算発表を経て上方修正される可能性もあります。
日本株は、予想PERの底入れと予想EPSの拡大の両面を契機に、もみあい相場から上抜ける可能性があると考えています。
<図表3>日本株の業績見通しは過去最高益水準