積極的な投資でバークシャーの手元キャッシュが減少
前述のオクシデンタル・ペトロリアム(OXY)への投資加速を含め、バークシャーは今年1-3月期には2008年以来となる規模で普通株への投資を行った。5月にSECに提出された2022年3月末時点のフォーム13Fからバークシャーの上場株への投資状況を確認しておこう。以下は前回2月に発表された2021年12月末時点との保有株式を比較したものである。
2022年3月末時点のバークシャー・ハサウェイが保有する米国上場株式(緑:新規投資 赤:売却)
アップル(日足)
コカ・コーラ(日足)
シェブロン(日足)
バークシャー・ハサウェイ(日足)
マイクロソフトが買収する予定のゲームソフト大手アクティビジョン・ブリザード(ATVI)へ追加投資した他、パソコンメーカーのHP(HPQ)、自動車販売店やその顧客に金融サービスや保険商品を販売するアライ・ファイナンシャル(ALLY)、石油化学製品・プラスチック製品などを製造するセラニーズコーポレーション(CE)などの株式を新たに取得した。
また、6年ぶりの完全買収も行った。3月21日には保険会社のアレゲニー・コーポレーション(Y)を116億ドル(約1兆3,800億円)で買収すると発表した。この取引は2021年12月末時点のアレゲニーの企業価値の1.26倍で実行され、2022年第4四半期に完了する予定とのこと。
アレゲニー・コーポレーション(日足)
アレゲニーの2021年度の業績は売上が前年同期比35%増となる120億ドル、純利益は10億ドルだった。
アレゲニー・コーポレーションの業績推移
アレゲニーの2018年から2021年までの4年間の営業キャッシュフローと投資キャッシュフローをプロットするといずれも「安定期」にあることがわかる。
アレゲニー・コーポレーションのキャッシュフローマトリックス(2018~2021年)
こうした投資により2021年末時点で過去最高に近い水準にあったバークシャーの手元資金は今年3月末時点で1,063億ドルと、昨年末時点の1,467億ドルから、約400億ドル減少した。
バークシャーの現金ポジションとNYダウの推移