今日の為替ウォーキング

今日の一言

幸福というのは最初からあるものではなく、自らの行動によってもたらされるものです。- ダライ・ラマ

Under My Thumb 

 今週は米雇用統計の発表がある。最近は、米雇用統計は以前ほど相場に影響を与えなくなったといわれる。FRBが雇用市場の動向を見て金融政策を決定するという時代は終わったからだ。だからといって雇用統計が重要でないと考えるのは間違いだ。

 前回5月の雇用統計は、全体として良い結果だった。非農業部門雇用者数は39.0万人増で、FRBの金融引き締め政策のなかでも堅調さを維持した。一方で、平均労働賃金は事前予想(0.4%増)を下回る0.3%増にとどまり、インフレ率の上昇要因とされる労働コストの上昇は抑制された。

 FRBの大幅な利上げはもう必要ないだろうとマーケットは安心したが、それはほんのわずかな期間だった。その2週間後の6月FOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利のFF金利の誘導目標をサプライズの0.75ポイント利上げし、0.75-1.00%から1.50-1.75%へ引き上げた。

 市場を動揺させないように対話を重視してきたFRBが、あえてフォワードガイダンス(金融政策の方針)で示していた0.50ポイントを超える利上げをした。そこまでしなくてはいけなかったFRBの苦悩の深さを示している。どこかの中央銀行のように市場を驚かせて喜びたいわけではない。 

 パウエルFRB議長はインフレと刺し違える覚悟で利上げを続ける決意だ。しかし、インフレと利上げのレースがこのまま続くことで、金融引き締めに耐えきれなくなった米国経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクもまた高まっている。

 それでも米国経済がなんとか持ち堪(こた)えているのは、雇用市場が強さを保っているからだ。それだけに、雇用市場に重大な異変が発見された場合、マーケットはパニックになるだろう。米国経済の先行きを考えるうえで、今週の雇用統計は重要だ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成