ディフェンシブ株とは?

 このところにわかにディフェンシブ株の値動きが良くなっています。

 ディフェンシブとは「防御的な」という意味で、景気後退に強いビジネスを指します。

 あなたがけがや病気になれば病院に行ってお薬をもらうでしょうし、おなかが空けば家で何かを食べるでしょう。このようにディフェンシブなビジネスは景気とは無関係です。

 具体的には食パン、駄菓子、歯磨き粉のような日用品、トイレットペーパー、お薬、ソーダ類がディフェンシブなビジネスのイメージです。

ディフェンシブ株の特徴

 ディフェンシブ株は、ハッキリ言って地味な銘柄が多いです。

 普段、株式市場の調子が良い時、投資家はインターネット、半導体、ITなどのわくわくするストーリーを追いかけるものです。

 そのような企業の方が成長は高いですし人気という面でもPER(株価収益率)で割高で買われます。

「うさぎとカメ」の寓話に喩(たと)えればディフェンシブ株はカメです。動きがノロノロしています。

 しかしひとたび不況となると良く経営されていて業績もちゃんと出しているような銘柄でもこっぴどく売られることは最近の厳しい相場で皆さんも身に染みて感じていることと思います。

 そうなる理由は、そもそも株式バリュエーション的に割高に取引されてきたからに他なりません。

 今は市中金利がスルスル上昇しています。こういう局面では高バリュエーションを享受してきた銘柄ほど脆(もろ)いです。

 機関投資家は最終受益者からお金を預かっている関係から常に何かに投資していないといけないというバイアスがかかります。

 彼らは金利上昇局面、そしてその後に必然的にやってくる景気後退に備えて売りたたかれやすい急成長株を売却し地味な銘柄へシフトします。そのような避難先が食品株や薬品株ということになります。

ディフェンシブ株を選ぶ際のポイント

 このように機関投資家は避難先としてディフェンシブ株を選ぶわけですから急成長しているとかエキサイティングな新製品があるというような考慮点はアピール・ポイントになりません。

 むしろ退屈で影の薄い銘柄の方が好都合です。そして保守的に経営されていてバリュエーションが低ければさらに良いと思います。

 製品やサービスの面でも、昔からある老舗企業の方が良いと思います。

 具体的な銘柄で言えばキャンディーのメーカー、トッツィーロール(ティッカーシンボル:TR)などがこれに当てはまります。同社は何十年も同じ味を頑なに守り続けています。同社のキャンディーはハロウィーンのときに近所の家々を子供が回る際、手渡されるようなお菓子であり、流行に左右されません。

 食パン「ワンダーブレッド」を作っているフラワーズフーズ(ティッカーシンボル:FLO)も日本の主食であるお米に相当する食パンを作っているわけですから需要は安定しています。こちらも昔ながらのブランドイメージを堅持しています。

 ゼネラルミルズ(ティッカーシンボル:GIS)は朝食のシリアルの「チェリオ」、ホットケーキのミックス「ベティクロッカー」などを作っています。業績は極めて安定しています。

 もうひとつシリアル・メーカーにケロッグ(ティッカーシンボル:K)があります。「フロステッドフレーク」、「チーズイット」などのブランドを展開しています。

 近年業績が低迷していてターンアラウンド中の銘柄ではクラフトハインツ(ティッカーシンボル:KHC)が挙げられます。同社はチーズやケチャップのメーカーです。