今日の為替ウォーキング
今日の一言
人生における敗北、苦しみは試練であり不幸ではない – 大友宗麟
Get Down Tonight
2年前の米経済はまさに絶好調で、雇用市場では失業率が半世紀ぶりの水準まで下がり、完全雇用時代の到来と言われていた。しかし新型コロナによって、2020年3月と4月のたった2カ月間で2,200万人が職を失い、失業率は戦後最悪の水準まで一気に悪化した。
しかし、その後の反動もまた驚異的で、その後の2カ月間で雇用が30%以上も回復。これを景気循環と呼ぶならば、たった2カ月間で不況と好況が切り替わったことになる。経済が過去経験してきた景気循環というのは、長ければ50年、短くても40ヵ月周期。雇用市場が光速で変化しているのだ。
米雇用市場におけるNFP(非農業部門雇用者数)は、2020年5月以来 、合計で約2,043万人増加した。新型コロナによって2020年2月と3月の2カ月間で失われた2,156万人にはまだ約113万人足りない。今年1月から3月までの平均雇用者増加数は、+52.2万人/月なので、2022年6月、つまり7月雇用統計で雇用市場はコロナ前の状態、ほぼ完全雇用に戻ることになる。
米雇用市場に関して、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、「労働需給はかなり引き締まった状態である」との見解を示し、労働コスト上昇を原因とするインフレ率の一段の上昇を懸念している。
FRBの本音を言えば、求人数が大幅に減って、労働市場が均衡に近づくまで需要が減ってほしい。そうならない限りFRBは利上げを続けなくてはならず、ソフトランディングの可能性も低くなる。
ただ、前回4月の雇用統計に限っていえば、米国の就業者が順調に増加していることが確認された一方で、労働賃金上昇の圧力はそれほど強まっていなかった。これ以上の過激な利上げも必要はない、ということで、FRBにとって良い結果だったといえる。