株式相場は急落した後、底入れまで4段階のプロセスに従うことが多い

 5月25日のブルームバーグの記事『米国株にさらなる下落余地、4段階の株式市場サイクルが示唆』の中で、ネッド・デービス・リサーチの予測が取り上げられている。

 ネッド・デービス・リサーチの米国担当チーフストラテジスト、エド・クリソルド氏とシニアクオンツアナリスト、タン・グエン氏によると、株式相場は急落した後、底入れまで4段階のプロセスに従うことが多いという。 

1段階:主要な指数が極めて売られ過ぎの水準に低下する。

2段階:相場は上昇する。

第3段階:反発が持続するか確認するために再び安値を試す。

底入れの最終第4段階:短期間に下落銘柄数と比べて上昇銘柄数が極めて多くなる「ブレドス・スラスト(breadth thrust)」のクラスターが発生する。

「ネッド・デービスの複数の指標に基づくと、現時点ではこのサイクルの第1段階のみに到達している。S&P500種株価指数が買われ過ぎか売られ過ぎかを判断する際に使われるモメンタム指標、ストキャスティクス(14日間)は4月26日に0.045と、2018年12月24日以来の水準に低下した。クリソルド、グエン両氏は顧客向けリポートで「結論を言えば、市場は第1段階(売られ過ぎ)を達成し、第2段階(上昇)を試しつつある。市場が第4段階(ブレドス・スラスト)に移行できるまで、このプロセスは進行中だと考えている。クリソルド、グエン両氏は顧客向けリポートで「結論を言えば、市場は第1段階(売られ過ぎ)を達成し、第2段階(上昇)を試しつつある。市場が第4段階(ブレドス・スラスト)に移行できるまで、このプロセスは進行中だと考えていると指摘した」

出所:(5月25日ブルームバーグ『米国株にさらなる下落余地、4段階の株式市場サイクルが示唆』)

 ネッド・デービス・リサーチの予測が正しければ、現在の相場は「2段階:相場は上昇する」のフェーズにあり、現在の米国株の上昇は大きな下落相場の中のあや戻しに過ぎないだろう。

 米国株もドル/円も資源国通貨(株価連動のクロス円通貨)も現在、リバウンド相場となっている。われわれ市場参加者にとっての問題は、このあや戻しが、1カ月程度なのか2、3カ月続くのかである。

ナスダック100CFD(日足)

(赤↑:買いシグナル・黄↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ドル/円(日足)

(赤↑:買いシグナル・黄↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

豪ドル/円(日足)

(赤↑:買いシグナル・黄↓:売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター 

 逆金融相場はまだ始まったばかりなのに、市場の一部では9月利上げ停止とか、QE5待望論とか、バブル再燃期待が強い。利上げを停止したら一時的に株は上がるだろうが、インフレが制御不能になる可能性がある。

 ジャネット・イエレン米財務長官は、5月31日のCNNのインタビューで、「インフレ進行の道筋について私は間違っていた。想定外の大きな経済へのショックでエネルギー・食品価格が押し上げられるとともに、供給のボトルネックがわが国の経済に悪影響を及ぼしたが、当時はこれらについて完全には理解していなかった」と述べた。

 ペリー・カウフマンが言うように、「政府はいつでも、パーティーには遅れてやってくる。彼らが起こった問題に対処しなければ、同じことが再び起こる可能性がある。一方、彼らは安全を過信し、大きな危機がふたたび発生することはないと思っている」のだろう。

 そもそも株式市場は実体経済とはあまり相関がないが、最近は実体経済とはほとんど相関が無い。国家管理による人為的なネズミ講相場となっているため、突然崩壊するだろう。阿保らしい話だが、それが現実である。そして利上げやQTといったインフレ下の逆金融相場の今、バブルは破裂している可能性がある。

 個人投資家がバブル相場につぎ込んでいいのは、失ってもいいお金だけだ。そもそも、大多数の人間が飛びつくものに、ろくなものがあったためしがない。資産運用の世界で流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。