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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ナスダック急反発、日経平均は戻り試す?」
ナスダック急反発で、世界的に株が反発
先週(5月23-27日)は、これまで世界株安を先導していた米ナスダック総合指数が急反発しました。それにつれて、世界的に株が反発しました。
先週(5月23-27日)の世界の主要株価指数の騰落率
世界的な株安が続いたことにより、東証プライムの予想PER(株価収益率)は約14倍、米S&P50種指数は約18倍、独DAXは約13倍、上海総合は約10倍まで低下しており、世界的に株に割安感が出てきたとの見方もあります。
ただし、世界景気の悪化につながる不安が解消したわけではないので、これで米国株がすぐに底入れするとの見方は多くありません。
ナスダック・日経平均比較:2019年末~2022年5月27日
上記チャートを見ればわかる通り、日経平均株価は堅調に推移していますが、米ナスダックは、まだ急落後のテクニカル・リバウンドに過ぎない可能性もあります。
ナスダックを下落させてきた3つの不安はまだ解消していません。
【1】米インフレ・引き締めショック
米インフレ(米CPI総合指数前年比上昇率)は4月時点で8.3%と高止まりしたままで、FRB(米連邦準備制度理事会)が急激な引き締めを急いでいる状況に変化はありません。
【2】ウクライナ危機
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、世界的なエネルギー・穀物不足も長期化する可能性が出ています。ロシアへの経済制裁が強化される中、制裁を科されるロシアだけでなく、制裁を科す日米欧の景気・企業業績のダメージが大きくなりつつあります。
【3】米景気・中国景気の減速懸念
インフレと金融引き締めによって米景気が減速する不安が出ています。中国景気もゼロコロナ政策に固執する中国政府による上海ロックダウン(都市封鎖)によって急減速する不安が高まっています。