今日の為替ウォーキング
今日の一言
ダウンサイドが取り除かれていれさえすれば、アップサイドは自然に姿を現す
Jack & Diane
FRB(米連邦準備制度理事会)前議長で、経済学者でもあるイエレン財務長官は、30数年前に発表した労働市場に関する学術論文において、「不況の後、多くの人々は労働市場から完全に離れるが、時間の経過と共に、景気回復と賃金の上昇を期待して、再び労働力として戻ってくる」と論じた。
労働市場がひっ迫すると、賃金が急上昇する。すると労働者が高賃金に惹かれて再び働きはじめる。労働力参加率は上昇し、失業率と賃金が安定する。最終的には賃金の伸びが鈍化する。基本的な需要と供給の論理だ、現在の労働市場の動向は、イエレン理論の正しさを証明している。
今週の雇用統計の数字を見れば、現在の米雇用市場が強いことは明らかだ。しかし、経済構造が光速スピードで変化するコロナ後の世界は、雇用市場がどのような状態にあるかということ以上に、雇用市場がどちらへ向かっていることを知ることの方が大切である。
物価高など生活費の上昇による実質所得の減少が人々の仕事復帰を促し、その結果平均賃金が下がり、インフレは低下するのか。あるいは、実質所得の減少が消費を抑え、雇用が縮小するのか。現状は同じでも将来のシナリオは1つではない。前者のケースは緩やかな経済拡大を予想するが、後者の場合は不況という結末が待っている。