バー・チェーン最大手、若者人気と高効率のビジネスモデルで成長見通し良好

現地コード 銘柄名
09869

海倫司国際

(ヘレンズ・インターナショナル)

株価 情報種類

10.22HKD
(5/17現在)

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 BOCIは中国最大のバー・チェーン、海倫司国際について、高度に標準化されたビジネスモデルを国内業界に持ち込んだパイオニアであり、業界の集約化をリードするだけの能力を有するとして高く評価している。高コスパというポジショニングに根差した売り上げの弾力性の追求やオペレーション面の強力な執行力が、同社の優れた採算性を実現させている要因。新型コロナに起因する行動規制や、事業拡張力および競争力に関する市場の懸念を背景に、同社株価は3月初めから約50%下落したが、BOCIは引き続き楽観スタンスを維持し、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いている。

 海倫司国際はカジュアルバーを展開する国内最大手。細分化されている国内バー市場で1.1%のシェアを持つ(2020年の売上高ベース、2位のシェアは0.4%)。同社が提供するソーシャルスペースは、中国の主要消費者グループに成長しつつある若年層にとって非常に魅力的であり、景気が低迷する中にあっても、高コスパを武器に全国に浸透しつつある。BOCIは標準化モデルや高いブランドエクイティー、力強いサプライチェーンを強みに、同社が積極的な出店を継続するとみて、10年以内には総店舗数が2,903-2,971店に達すると予想。店舗密度や若年人口、ショッピングモール普及率などの想定に基づき、2031年にはシェア5%超を獲得するとの予測を明らかにしている。

 同社のブランドアルコール飲料(2021年の売上構成比58.5%)の粗利益率は競合を上回る水準にある。BOCIによれば、飲料の売上構成比の上昇とスケールメリットの拡大が今後も、粗利益率の上昇を後押しする見込み。高度な標準化モデルは新店舗の早期採算化と既存店舗の採算維持にもつながる。さらに出店に際してのトップダウン型の手法は店舗間のカニバリゼーション(共食い)を防ぐことが可能。その結果、忠誠度の高いリピーターの来店で、1日当たり売り上げを高水準に維持することが可能となっている。

 コロナ感染が収まれば、店内飲食中心のバー業界は外食業界の中で最も急速な回復を遂げる見込み。コロナ禍の2020年も同社の1日当たり平均売上高は前年比で5%伸び、若者層を主要顧客とするビジネスの底堅さをうかがわせた。また、資産を軽く保つアセットライト型モデルも利幅を維持する上で有利。BOCIはこの先、新たなフードコンセプトや店舗形態の開発といった形で、同社がさらに強さを増す可能性があるとみている。

 BOCIは2022-2024年のコア純利益、コアEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)について、年率平均86%、53%の伸びを予想。売上高も51%のペースで拡大するとみている。2022年EV/EBITDA(EV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)14.4倍をあてはめて目標株価を設定したが、この水準は中国内外の外食店・バー経営会社のほぼ中央値。2022年、2023年の予想PER(株価収益率)では53.4倍、22.1倍に当たる数字となる。