2022年13月期は実質23%減益、規制強化が広告収入などを直撃

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

365.60HKD
(5/19現在)

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 中国を代表するインターネット企業、テンセントの2022年1-3月期決算は、純利益(非GAAP)が前年同期比22.9%減の255億元にとどまり、市場コンセンサス予想を3.4%下回った。主に海外ゲーム収入と広告収入の縮小に加え、クラウドビジネスが急速な移行期に当たったことが響いた形。BOCIは企業の広告予算の削減や一部都市の封鎖に伴うオフライン取引作業への影響を反映させた上で、目標株価を下方修正した。ただ、クラウドビジネスの再構築やコスト構造の合理化を理由に、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の売上高は前年同期比横ばいの1,355億元。市場とBOCIの予想をそれぞれ4.0%、4.3%下回った。ゲーム収入(特に海外)が予想以上に低調だった上、広告業務も予想から下振れし、これにクラウド業務の見直しが重なった格好。売上構成の悪化を受け、粗利益率は42.1%と前年同期比5.5ポイント低下し、ライブストリーミングサービス関連のコスト増も利幅を圧迫した。純利益(非GAAP)は前年同期比22.9%減、前四半期比2.7%増の255億元と、市場予想とBOCI予想を3.4%、4.4%下回った。

 部門別では、付加価値サービス(VAS)が比較的安定しており、1-3月期の売上高はほぼ横ばいの727億元。うち国内、海外のゲーム収入はそれぞれ前年同期比1%減、4%減だった。一方、広告部門の収入は18%減の180億元と低調で、内訳はソーシャル広告が15%減、メディア広告が31%減。フィンテック・企業向けサービス部門は10%の増収を確保したが、うち企業向けサービス業務は小幅の減収にとどまった。経営陣によれば、4-6月期に入ってから、企業のセンチメントは一段と悪化し、特にFMCG(日用消費財)やEC、旅行関連企業が広告費予算を大きく削減しているという。

 同社は過渡期を乗り切るため、コスト管理の強化(販管費の削減)や重点戦略への投資の集中(研究開発費の拡大)、一部不採算事業の合理化といった手法を実行に移した。実際、国内の消費低迷やネット大手に対する政府の規制強化は、ゲーム収入、広告収入を萎縮させるとともに、フィンテックやその他ビジネスを減速させたが、BOCIは同社が持つ唯一無二のソーシャルネットワーク・エコシステムやゲーム市場における強力な地位、強固なバランスシートなどを依然高く評価している。

 BOCIはゲーム、広告、フィンテック・企業向けサービスという主要3部門の予想売上高を引き下げたのに伴い、2022-2024年の利益見通しを4.3%、6.6%、7.9%減額修正。ゲーム、広告事業の目標PER(株価収益率)倍率を20倍、16倍に据え置いた上で、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を下方修正した。レーティング面の潜在的なリスク要因としてはゲームから広告に至るまで、ネットビジネスを標的とした中国当局の締め付けの可能性と成果報酬型広告の一段の競争激化の可能性を挙げた。