今日の為替ウォーキング
今日の一言
感情をそのままマーケットに持ち込んでしまうと必ず負ける
Forever Young
世界中でインフレが急上昇している。前年比インフレ率というのは、 1年前と比較して、今日の物価がどれだけ上がったか(あるいは下がったか)という意味だ。今の物価と比較しているのは世界の多くの地域が新型コロナによる移動制限が課されていた時期である。つまり、1年前のロックダウン経済と、今のアフターコロナ経済を比較しているのだから、インフレ率が急上昇するように見えるのは当然なのだ。
主要先進国の統計機関では、CPI(消費者物価指数)のバスケット(消費者が購入する代表的な財・サービスの組み合わせ)を固定し、このバスケットに含まれる財・サービスの購入に必要な価格の変化を計測することで指数を作成している。
人々の消費習慣というのは、これまでそれほど変化しなかったから問題が起きることはなかった。しかし、新型コロナ感染流行とエネルギー価格ショックによって、人々の消費パターンは劇的に変化してしまった。その分、CPIと実体経済のかい離も大きくなっている。
食料品が大幅に値上がりしても、消費者がディスカウント・スーパーマーケットで買うならば、CPIの数字が示すほどには実際は家計に影響しない。あるいは節約のためにディスカウントショップに行ったり、シャンプーをブランド品ではなくPB(プライベートブランド)に切り替えたりすれば、消費者の支出は減る。しかし、消費者物価指数ではそれが起きていることを認識できない。欧州の消費者物価指数では、人々はまだ経済がロックダウンしていると仮定しているから、外食などサービス部門の支出が過小評価されている。
物価は明らかに上昇しているが、インフレ率が示すほどには、消費力は弱まっていないのかもしれない。