2022年1-3月期は13%減益、商品インフレが打撃に

現地コード 銘柄名
00220

統一企業中国控股

(ユニ・プレジデント・チャイナ)

株価 情報種類

6.49HKD
(5/12現在)

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 台湾系の飲料・即席麺大手、統一企業中国の2022年1-3月期の純利益は前年同期比13%減の3億2,900万元と、市場コンセンサス予想を下回った。食品部門、特に低価格品部門で商品インフレによる粗利益率の下押し圧力が予想以上に強かったことが背景。設備稼働率の上昇によるスケールメリットや販促活動の抑制が原材料高による悪影響を一部打ち消した。飲料の2桁増収や食品の1桁台後半の増収を受け、売上高は1桁台後半の伸び。経営陣は「前年比1桁台後半の増収」を確保するという2022年通期目標を据え置いた。BOCIによると、新型コロナの感染は飲料販売にはマイナスだが、即席麺にはプラス。それ以上に景気減速下でコスト転嫁が難しくなる可能性があり、粗利益率の悪化が懸念されるとした。同社株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

 食品部門では引き続き、高価格帯へのシフトが進行中。平均販売価格の上昇と販売数量の増加を受け、1-3月の部門売上高は前年同期比1桁台後半の伸びを示したが、高価格帯製品(平均販売価格5元以上の製品)に限れば、2桁の増収だった。経営陣によれば、トマトスープ麺「茄皇」(The King of Tomato)の売上高は370%増を記録し、温め機能付き弁当「開小灶」(Kai Xiao Zao)は2桁増収。スケールメリットもあり、高価格帯の増益率は税引き前で2桁に達した。半面、低価格製品では、農家による「老壇酸菜」(即席麺の具として人気の漬け物)の非衛生的な製造法の暴露や、パーム油価格の43%の高騰などが収益に影響した。BOCIは続く4-6月期について、3月半ば以降のコロナ感染の拡大が即席麵の需要増につながるとの見方。ただ、パーム油高騰による利幅縮小圧力は年内続くとみる。経営陣は引き続き、販促活動の抑制で吸収する方針という。

 一方、飲料部門の1-3月期の売上高は前年同期比2桁増。ジュースと茶飲料の好調で、2020年同期からの2年間に年率平均20%強の部門増収を達成した。ボトル材PETの前年同期比20%の値上がりが響く中、スケールメリットの拡大と販促費の抑制で、税引き前利益は1桁台の伸びを確保した。ただ、BOCIは4-6月期も引き続き、行動制限が飲料の売れ行きに影響するとみている。経営陣は販促費の抑制と同時に、小都市での需要取り込みに向けた「大包賺」システム(地区ごとに自主経営権を持つ契約事業者を配置する)への投資を実施し、1-3月には販売拠点数を倍増させた。BOCIは販売効率アップにつながるとみて、この手法を前向きに受け止めている。

 BOCIは商品インフレを反映させる形で、2022-2024年の予想純利益を9%、3%、1%減額修正。これに伴い、2022年予想PER(株価収益率)20倍をベースとする目標株価を9%引き下げた。レーティング面では、上振れ要因として「大包賺」および高価格化の加速と、製品値上げの可能性を指摘。下振れ要因としては、競争激化や商品インフレの持続、消費者の嗜好の変化などの可能性を挙げている。