米株パッシブ運用資金が新たな懸念?
米QT(量的金融引き締め)、中国景気低迷(大都市ロックダウン)、ウクライナ情勢など株式市場は波乱要因が多い状況が続いています。
米金融引き締めにしても、利上げ打ち止め感が出てくれば、それ以前に台頭した懸念がなかったかのように認識される可能性はあります。
中国景気低迷にしても、コロナ感染が収束の兆しが表れてくれば同様になると思われます。
ウクライナ情勢にしても、ロシアとウクライナの停戦交渉が進展すれば見方は変化するでしょう。
しかし、それが「いつ」なのかを見極めるのは極めて難しい作業です。
足元、もっとも株式市場に影響を与えている印象の米金融引き締めについては、FRB(米連邦準備制度理事会)が米国経済をソフトランディングさせることができるかどうかまだ確信が得られていません。
今後は、
- 米企業業績減速度合いの確認
- 月次CPI(消費者物価指数)の落ち着きによるインフレピークアウト感
- 米時間6月14~15日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利上げが行われ、それに対する市場の反応
などが関心事となるでしょう。
加えて、米株式市場が「曲がり角」に到達するかもしれないことについても認識をしておきましょう。それは米著名経営者も警鐘を鳴らした「パッシブ運用の拡大」について巻き戻しが起こる可能性です。
パッシブ投資は(ベンチマーク指数を基に投資されるため)、企業のファンダメンタルズを問わず自動的に資金を投じる投資手法とも表現できます。
パッシブ運用の主力、インデックス投資のリスクを巡る議論はかねてからありましたが、それでもコストの低さに加え、全体相場の上昇局面では銘柄選択の成否に負うことなく効率的に投資が行えることから投資資金がシフトしてきました。
仮にこれらの資金が市場から逃避したとするとどういうことが起こるのでしょうか?
まずは、米企業の本質的な価値に関係なく広く売られる動きが想定されます。
もちろんこの段階で必ず資金の逃避が起こると決まったわけではなく、投資資金を不安に陥れている要因が取り除かれれば杞憂(きゆう)となりますが、それでも、米株式市場においては「パッシブ運用資金の逃避(巻き戻し)」についてイメージしておくに越したことはないでしょう。
【パッシブ運用とは】
投資信託などの運用手法による分類のひとつ。運用目標とされるベンチマーク(株価指数など)に連動する運用成果を目指す運用手法のこと。米株式市場ではS&P500種指数や他株価指数に連動するファンドの成長によって、パッシブ運用は2018年夏以降、アクティブ運用を上回ったとされる。