利上げ後の米景気動向にも注目

 5月5日、BOE(英国中央銀行)はMPC(金融政策委員会)で予想通り政策金利を0.75%から
1.0%への引き上げを決定しました。しかし、同時に発表された議事録ではBOEはリセッションに陥るとの予測をしたほか、2023年には経済が縮小するとも明記し、成長率▲0.25%(前回は+1.25%)の予測をしています。

 この景気予測によって、利上げにもかかわらず英金利は低下し、ポンドは軟調な動きとなりました。

 このように米国も物価上昇だけでなく、利上げによる景気への影響も相場の波乱材料になるかもしれないため、景気動向にも注視する必要があります。

 4月28日に発表された米国1-3月期GDP(国内総生産)は、プラス予想に反し▲1.4%と7四半期ぶりのマイナス成長となりました。GDPにマイナスに寄与する輸入が急増し、輸出も減少したことから貿易赤字が拡大して成長率を抑制しました。

 また、前期に在庫投資が急増した反動も影響したようですが、個人消費は前期より伸びているためFRBの方針に影響しないとの見方が大勢となっています。

 しかし、今後は、利上げによる景気への影響にも注目し、加えて中国のゼロコロナ政策による景気鈍化やウクライナ紛争の長期化による資源、食料の供給制約など世界経済に影響を及ぼすことも予想されるため、米国の景気動向には注意してみておく必要があります。米国の景気が鈍化した場合、FRBの利上げペースにどのような影響を与えるのか注目です。

期待されるインバウンド効果?!

 5月5日、岸田文雄首相は英国の金融街シティーで講演し、新型コロナウイルスの水際対策を6月にも*G7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう緩和すると表明しました。海外からの観光客の入国制限が緩和されれば、現在の円安水準だとインバウンドの回復が期待できそうです(円高要因)。

 ただ、入国制限は1日上限1万人を2万人に緩和検討とのことですが、1日2万人だと単純計算で年間入国者は730万人となります。

 コロナ前の訪日外国人旅行者数はピークの2019年で3,188万人でした。730万人はその23%にしか過ぎないため、インバウンド効果は大きくないかもしれませんが、話題性があるため、6月の緩和前の5月後半から期待先行の円高の動きが出てくる可能性もあり注目したいと思います。

*G7…カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7カ国