ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄

 4月(5月6日まで)の日経平均株価は前月末比で2.9%の下落となりました。米国での急速なQT(量的金融引き締め)に対する警戒感が強まり、月前半にかけて大きく下落しました。

 その後、米CPI(消費者物価指数)のピークアウト期待が高まったことで戻りを試す場面もありましたが、大型連休を控える中で、月後半に向けてはポジション整理の売りに再度押される展開となっています。

 注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、市場の想定通りに0.5%の利上げを決定した一方、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が0.75%の利上げ実施に否定的なコメントを示しました。いったんは米国株に買い安心感も強まりましたが、インフレは抑制できないとの見方なども強まり、その後も米国株は不安定な状況が続いたままです。

 こうした中でランキング上位銘柄は高安まちまちとなっています。日本郵船(9101)JFEHD(5411)など、海運株や鉄鋼株は総じて売り優勢となりました。配当権利落ちに伴う手じまい売りの動きが、4月前半まで強まる格好となったようです。

 海運株に関しては、3月の中国発米国向け海上コンテナ輸送量が22カ月ぶりに前年同月比マイナスに転じたことも売り材料視されました。半面、物色がディフェンシブセクターに移行する流れとなったことで、武田薬品(4502)ソフトバンク(9434)などは堅調な動きとなっています。米長期金利の上昇を手掛かりに、三井住友FG(8316)などの金融株もしっかりでした。

 今回は、四国電力(9507)大東建託(1878)が新たにランクインした一方、ヤマダHD(9831)三菱HCキャピタル(8593)がランク外となりました。

 四国電力は4月27日に決算を発表しており、2022年3月期の配当水準引き上げが想定される形となったもようです。大東建託は株価が大きく下落したほか、配当計画の上方修正も発表して配当利回りが上昇しました。

 ヤマダHDや三菱HCキャピタルは相対的に株価が底堅かったことで、ランク外となっています。なお、ヤマダHDは5月6日に、発行済み株式数の23.9%規模を上限とする自己株式の取得実施を発表しています。

 アナリストコンセンサスと会社計画で配当予想が大きく異なっているものは少なくなっていますが、大東建託(1878)は会社計画の年間514円をベースにすれば、配当利回りは4.43%となり、アナリスト予想はより高い水準となっています。

 JFEHD(5411)は2023年3月期の配当計画を未定としていますが、アナリスト予想ではほぼ前期並み(140円)の水準を見込んでいるようです。

 SBIHD(8473)は引き続き期末配当金(2022年3月期)を未定としていますが、アナリストコンセンサスでは年間配当140円程度を想定のようです。

 四国電力(9507)は会社側の配当計画未定ですが(2022年3月期実績30円)、アナリストコンセンサスでは40円程度への増配を期待しています。

相場の注意点

 米ハイテク株の不安定な動きが続く中、依然としてグロース株は手掛けにくい状況にあり、相対的にはバリュー株優位と考えられます。

 この行方のカギを握るのは、海運株や鉄鋼株などの高配当利回り銘柄の株価動向となります。各社の2023年3月期配当予想に注目が集まりますが、まず商船三井(9104)は配当性向の引き上げによって年間配当金を350円(前期比実質50円減配)としています。配当利回り10%超の水準であり、十分に安心感が出る水準といえます。

 一方、5月9日に決算発表の日本郵船(9101)は前期比400円減配の1,050円を計画です。やや減配幅は大きいですが、利回り妙味は引き続き十分といえるでしょう。前期同様に今後の上乗せも期待できそうです。

 ただ、JFEHD(5411)は配当見通しを未定としており、不透明感を残す形になっています。日本製鉄も同様になるとみられ、目先的にバリュー物色は海運株に集中する可能性があるでしょう。