2021年通期は31%のコア増益、非住宅の管理サービスや第三者委託業務に強み

現地コード 銘柄名
03319

雅生活智慧城市服務

(エー・リビング・スマートシティー・サービシズ)

株価 情報種類

13.16HKD
(5/4現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 不動産デベロッパー雅居楽集団(03383)傘下の不動産管理サービス会社、雅生活智慧城市服務の2021年12月通期決算は、売上高が前年比40.4%増の141億元と、BOCIの予想を小幅に下回った。粗利益率は前年を2.2ポイント下回る27.5%と、予想を2.1ポイント下回り、販売費および一般管理費の対売上高比率は0.3ポイント上昇。通期のコア純利益は30.7%増と、増収率を下回り、BOCIの予想から8.4%下振れた。粗利益率が予想を下回ったことで、BOCIは2022年、2023年の予想EPS(1株当たり利益)を8.4%、9.8%減額修正。また、親会社である雅居楽集団の決算発表が遅れ、不確実性が高まっていることを考慮し、目標株価を49%引き下げた。ただ、非住宅分野における競争力や収益構造の持続的な改善を前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社は第三者プロジェクト(親会社の開発物件以外からの委託業務)の獲得で業界をリードしており、2021年には契約価値が1,000億元(年換算)を上回る委託契約を50件以上取得した。さらには入札を通じて北京冬季五輪の競技場マネジメントを含む複数の重要プロジェクトを落札するなど、非住宅分野の管理ビジネスに強みを発揮。ブランドイメージをさらに強化した。

 また、収益構造は引き続き改善傾向にある。2021年には各事業部門のうち、コミュニティー向けVAS(付加価値サービス)収入が前年比77.3%の大幅増。以下、不動産管理サービスが33.6%増と続いた。半面、非コミュニティー型VASの定期性業務は14.7%増収と、最も低い伸びにとどまり、売上高全体に占める割合は20.3%へ4.6ポイント低下した。2021年に開始したばかりの都市サービス(道路清掃・保守やごみ収集、緑地管理、スマートシティー管理ソリューションなど)は6億9,800万元の収入を計上している。

 2021年には粗利益率が低下したが、これは不動産管理サービスより利幅の大きい非コミュニティー型VASの売り上げ比率が低下したことが一因。ほかにコミュニティー向けVASの粗利益率が45.7%へ7.5ポイント低下したことも響いた。BOCIはこの点について、サービスの種類別構成の変化が影響したと受け止めている。

 BOCIは目標株価の算出ベースを2022年予想から2023年予想PER(株価収益率)にシフト。同時に、親会社の財務リスクを理由に同PER10倍をあてはめ(22倍からの下方修正)、目標株価を大きく引き下げた。ただ、現在株価の2023年予想PERは4.2倍。2021-2024年のEPS伸び率が年平均22.7%に達する見通しや、非住宅管理サービス部門の競争力、第三者プロジェクトの獲得能力などを前向きに評価し、現在株価の低バリュエーションを指摘している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、親会社の財務リスクが株価の重しとなる可能性を挙げている。