4月雇用統計の予想

 米労働省労働統計局(BLS)が5月6日に発表する4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は+38.5万人の予想で、増加数は昨年9月以降初めて40.0万人を下回る可能性があります。今回のデータから含まれてくるウクライナ戦争の影響も注意する必要がありそうです。失業率は3.5%とわずかながらさらに下落しています。

 昨年(2021年)9月に15万人の新規採用計画を発表した米ウォルマートは、 今年の4月末までに追加で5万人の従業員を募集しました。しかし、非農業部門雇用者数の増加数は、企業側のニーズに比べて緩やかな増加ペースにとどまっています。つまり働く人がいないのです。

 労働者をつなぎとめるために企業は、競合相手よりもより給料やボーナスを多く支払わなくてはいけない。その結果、労働賃金が上昇しています。平均労働賃金は、過去1年で+5.6%も上昇しました。最近の調査によると、転職者の半数が10%以上の収入アップ、9%は50%以上もアップしています。

 現在の人手不足状態では、いったん従業員を解雇してしまうと次に見つけるのが難しい。そこでたとえ仕事がなくても人材を手元に置いておく会社も増えています。「雇用は増えていない」が、「解雇は減っている」のです。雇用者数が伸び悩む中でも失業率が下がっている理由です。