主力のペルー鉱山が住民占拠で操業停止、短期的な問題解決に期待

現地コード 銘柄名
01208

五鉱資源

(エムエムジー)

株価 情報種類

3.50HKD
4/21

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 中国政府系の非鉄鉱山会社、五鉱資源の2022年1-3月期の生産量は、4つの鉱山のうち3カ所で減少したが、これは経営陣の想定の範囲内。主力のラスバンバス銅鉱山(南米ペルー)は地元住民らによる抗議の侵入・占拠で、4月20日以降、操業停止を余儀なくされているが、BOCIはペルー政府が非常事態を宣言したことで、この問題が早期に収束するとみている。金属価格に関する想定値の引き上げに伴い、2022年の利益見通しを42%増額修正。目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 ラスバンバス以外の3つの鉱山では、1-3月の銅・亜鉛生産量がいずれも減少したが、これはオーストラリアのコロナ感染抑制措置による人手不足と、鉱石の品位(鉱物や金属の含有率)の低下によるもの。同社全体の銅、亜鉛の生産量はそれぞれ前年同期比2%増、27%減と、想定の範囲内だった。経営陣は2022年通期の生産目標を、銅34万5,000-37万トン、亜鉛22万5,000-25万5,000トンに据え置いている。

 ラスバンバス銅山は地元住民らの侵入・占拠で、4月20日から生産活動が止まっている。同社が「社会的投資へのコミットメント」を履行していないというのが住民側の主張。ペルーではほかに、米サザン・コッパー社(SCCO)も2月20日以降、ほぼ同じ理由でクアジョーネ銅山の操業を停止している。ただ、ペルー政府はこのほど、国内の銅生産量の計20%前後を占める2つの銅山の生産再開に向け、非常事態宣言を発しており、BOCIは操業停止が長引く可能性は低いとみている。

 BOCIは2022年通年の銅と亜鉛の価格に関する想定値を、それぞれ7.6%、17.3%上方修正した。1-3月の価格動向に、BOCIグローバル・コモディティーズが設定した4-12月期の新たな価格見通しを加味したもの。五鉱資源は金属相場の変動に対する感応度が非常に高いとし、2022年の利益見通しを42%増額修正した。

 また、2022年予想PER(株価収益率)4.7倍という現在株価の低バリュエーションを指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。年内の金属相場の高止まりを見込み、2023-2024年には業績上振れの可能性があるとみる。

 BOCIは今回、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)ベースの目標株価を小幅に引き上げた。2022年の利益見通しを42%増額修正したものの、リスクフリーレート(米国10年債利回り)の上昇を受け、WACC(加重平均資本コスト)の想定値を0.3-0.5%に引き上げたことが、プラス影響をほぼ打ち消した。

 レーティング面のリスク要因としては、ラスバンバスでの操業停止が長引く可能性と、金属相場が急落する可能性を挙げている。