香港の臨時病院建設が1-3月の2桁成長をけん引、本土住宅市況の低迷を懸念

現地コード 銘柄名
03311

中国建築国際

(チャイナ・ステート・コンストラクション)

株価 情報種類

9.35HKD
4/21

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 中国建築集団傘下のゼネコン大手、中国建築国際の2022年1-3月期決算は、売上高が前年同期比24.1%増、営業利益(合弁会社の持ち分利益を含む)が20.7%増と、BOCIの予想を小幅に上回った。詳細なデータは開示されていないが、香港での可動式のキャビン型病院(トレーラーハウスタイプのコロナ対策用病院)の建設請負事業が、1-3月期および12月通期の売上高の上乗せに寄与する見込み。BOCIはこの要因が利益の上振れにもつながるとの見方だ。目標株価を据え置きながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

   1-3月期は前年同期比24.1%の増収、20.7%の営業増益となり、経営陣が事前に示したガイダンス(いずれも10%台半ばの伸び)を上回った。2022年通期では、香港でのキャビン型病院の建設事業による売り上げ貢献がかなりまとまった金額に上る見込み。1-3月にオミクロン株の感染が急拡大した香港で、同社はこのタイプの病院8棟の新設を請け負った。BOCIによると、この分の請負収入は、同社の年間売上高に匹敵する数字となる見通しという。

 ただ、この病院の建設請負業務の収益性は、通常のプロジェクトを下回る見込み。社会責任が絡む公共医療プロジェクトである上に、納期の短さからコストがかさんだとみられるため。売上高ほどには、営業利益の上乗せ効果には期待しにくい。

 中国本土では、不動産デベロッパーの資金難から住宅建設事業に大幅な遅れが出ており、香港のキャビン病院の建設が収益成長をけん引する見込み。BOCIによれば、住宅建設業務の縮小分を補って余りある上乗せ効果が見込めるという。同社全体の1-3月の新規受注は前年同期比46.9%増で、うち本土が44.6%増、香港・マカオが51.4%増。新規受注額全体に占める割合は、本土が28.3%、香港・マカオが65.0%だった。

 2022年通期利益はキャビン病院の上乗せで、予想を上振れる見込み。ただ、BOCIは2021年通期売上高の41.9%を占めた本土の住宅建設事業のスローダウンを懸念している。インフラ建設を主力とする他のゼネコン大手とは異なり、同社の本土事業は住宅建設が主力であり、BOCIはこの点から、先行きに対して相対的に慎重。本土の不動産市況が今後大きく改善することがない限り、キャビン病院の収益計上後には、利益成長ペースが鈍化する可能性があるとしている。

 レーティング面の潜在リスク要因としても、BOCIは本土の住宅建設事業のウエートの高さを指摘している。国家統計局の最新指標を見ると、中国国内(本土)の不動産開発投資は1-3月に前年同期比わずか0.7%増。BOCIのリサーチによれば、デベロッパーの資金繰りの悪化により、多くのマンション建設予定地で工事がストップしている状況にあるという。