安定成長確保へインフラ投資の重要性高まる、国有企業が「勝者」に
中国では2022年に、インフラ建設セクターの重要度がさらに高まる可能性が高い。国有企業がさらに市場シェアを拡大し、より重要な役割を果たす見込み。ゼネコン大手がインフラ建設と不動産開発の両分野で、存在感を増すとみられる。不動産引き締めの影響で、一部のデベロッパーが債務危機に直面する中、ゼネコン大手はデベロッパーの資産の統合に動く可能性を示唆している。BOCIは2022年の利益成長率と新規受注の伸びが1桁台後半か10%台前半に達すると予想。2021年の香港株式市場ではゼネコン大手が軒並み全体相場をアウトパフォームしたが、2022年もこうしたトレンドが続くとみる。個別では国内2大ゼネコンの1社である中国中鉄(00390)を選好している。
BOCIは従来の見方をやや修正し、国内経済の安定成長に向けたインフラ投資の重要性が向こう数年間、さらに高まるとの見方に傾いている。インフラ投資はその他分野とは異なり、中国政府が直接的にコントロールすることが可能。旧正月明け早々に、政府指導部は重点プロジェクトの早期着工を促す政策方針を発表済みだ。また、2020-2021年には触れなかったインフラ固定資産投資(FAI)の重要性に、改めて言及している。
銘柄の選択においては、BOCIは国有企業を推奨している。国有企業が複数の事業分野で市場シェアを拡大する可能性が高まっているためで、その対象はインフラ建設にとどまらず、不動産開発、機械・基幹部品の製造分野にも及ぶ見通しという。民営企業を取り巻く環境は現状厳しく、国有企業が引き続き、勝者であり続ける可能性が高い。
2021年本決算では、ゼネコンの多くが市場シェア拡大を背景に前年比10%前後の増収や増益を達成した。原材料価格の高騰で、粗利益率はやや低下。設備メーカーを含めると、営業キャッシュフローは中国中車(01766)、中国鉄路通信信号(03969)で堅調だったが、全般的に低下傾向。地方政府による代金の支払い状況が思わしくない中、下請けやサプライヤー、従業員への支払いなど「社会的責任」を履行したことが理由という。
続く2022年について、BOCIはゼネコンの成長見通しが最も明確であるとの見方。大手の業績は向こう数年にわたって上向きに推移するとし、その理由として、◇2022年のインフラFAIが前年比5%増加し、2020-2021年から加速する見通し、◇大手の市場シェアの拡大、◇向こう数年のインフラ投資の重要性の高まり――を指摘している。
ゼネコン大手の現在株価は依然魅力的な水準にあり、中国中鉄、中国建築国際(03311)、中国鉄建(01186)、中国交通建設(01800)の2022年予想PER(株価収益率)はそれぞれ3.1倍、6.7倍、2.1倍、3.0倍。BOCIはヒストリカル平均までの大幅な上値を指摘し、全銘柄の株価の先行きに対して強気見通しを継続した。設備メーカーでは、海天国際のPERが8.9倍。マクロ経済の回復期待を理由に、景気循環株としての優先的な選択肢になり得るとしている。