コロナ感染の長期化で利益下押し圧力、2023年度も出店攻勢継続へ

現地コード 銘柄名
01929

周大福珠宝集団

(チョウ・タイフック・ジュエリー)

株価 情報種類

13.24HKD
(4/14現在)

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 宝飾品販売最大手、周大福珠宝の2022年度第4四半期(1-3月期)決算は、ほぼ市場の予想通りの内容となった。旧正月(2月1日)シーズンの売り上げは好調だったが、新型コロナの感染拡大により、3月には本土・香港業務がともに打撃を受けた。BOCIは主要都市のロックダウンの長期化が小売業務を圧迫し、利益見通しの不透明感が増したとしながらも、フランチャイズ店舗網の拡大を通して力強い売り上げ増を確保したことを前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の小売売上高は前年同期比8.5%増。本土での11.5%の伸びがけん引した。ただ、本土の既存店売り上げは11.3%減と、経営陣が1月に示した予想を下回る数字。前年同期実績の高さに加え、主要都市での3月のコロナ感染が響いた。一方、本土では2月上旬の旧正月期の売り上げが好調。貴金属より粗利益率の高いジュエリーの既存店売り上げがほぼ横ばい(0.4%微減)で推移。BOCIは悪くない数字と受け止めている。

 続く2023年度第1四半期(2022年4-6月期)には、上海市でのロックダウン長期化などが響き、本土の小売業務が大きな業績悪化圧力にさらされる見込み。経営陣によれば、約2割に当たる店舗が暫定的に営業を停止しているという。BOCIはオミクロン株の感染力の高さから、この状態が今後数カ月にわたって「常態化」する可能性を指摘。消費刺激策を導入しない限り、購買力に悪影響を及ぼす可能性があるとしている。

 1-3月には本土で255店舗を出店し、3月末の総数は5,902店。前年同月比で1,315店(29%)の増加となった。中小都市のフランチャイズ店が目立ち、実際、中小都市の業績は大都市を上回った。続く2023年3月通期の目標は1,000-1,200店舗の純増で、前年比では17-20%増を意味する。BOCIはコロナ感染の拡大で出店ペースが遅れる可能性を指摘しつつ、積極的な出店計画をポジティブなシグナルとして受け止めている。

 一方、香港での2月下旬以降のコロナまん延が響き、本土以外(主に香港・マカオ)の小売売上高は1-3月期に前年同期比21%減。小売業務全体に占める「本土外」地域のウエートは7%へ縮小した。BOCIは香港での感染防止措置の緩和や消費券の配布により、4-6月期には緩やかに回復するとの見方。経営陣は店舗賃料の引き下げ交渉や香港での消費券効果を理由に、本土外地域も採算性の維持が可能とみる。

 BOCIは本土でのコロナ感染の影響が予想以上に大きいとして、消費の低迷を予想。2023-2024年度の予想EPS(1株当たり利益)を8-12%減額修正した。ただ、積極的な出店計画をプラスに評価。目標株価の算出基準を「2023年度予想PER(株価収益率)23倍」から「同18倍」に下方修正し、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング面でのリスク要因として、コロナによる本土小売業務の下押し圧力、金価格の変動による売り上げや粗利益への影響などの可能性を挙げている。