急激な円安は日本の企業業績にプラス?マイナス?

 ドル長期金利の上昇が続く中、円の長期金利はゼロ近くに固定されているので、為替市場では急激なドル高(円安)が進んでいます。過去の経験則では、円安には日本の企業業績は大きなプラス効果がありました。ところが今、円安でも輸出は増えず、一方、輸入する資源価格の高騰によるマイナス効果が心配されるようになっています。

「悪い円安」が進んでいると言われますが、私は、悪い円安説はやや誇張されていると思います。生活者の眼から見ると、円安はマイナスが大きいのですが、企業収益の観点に立てば、円安は業績にプラスの効果の方が大きいと思います。

 実際に円安が企業業績にどう影響しているか、これから本格化する3月決算の発表が注目されます。日本からの輸出を増やす効果は確かにあまりありませんが、日本企業は海外現地生産・現地販売で高い利益を上げています。円安が進むことによって、海外利益(ドル建て)の円換算額が膨らむ効果は大きいので、円安は日本の企業業績にプラスと考えています。

日本株は長期投資で「買い場」の見方継続

 結論は毎回述べていることと同じです。日本株は割安で長期投資で良い買い場となっていると思います。

 ただし、短期的にはさらなる下値の可能性もあります。時間分散しながら割安な日本株を買っていくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。

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