コロナ再燃も売上見通し維持、主力製品の新適応症の承認申請などが焦点に
現地コード | 銘柄名 |
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09995 |
栄昌生物製薬 (レメジェン) |
株価 | 情報種類 |
49.35HKD |
株価 企業情報 チャート |
バイオ医薬品を開発する栄昌生物製薬の2021年12月本決算の発表を受け、BOCIは6日にグループミーティングを開催。その場で◇パイプライン(製品候補群)に関する最新情報◇2022年の商用化計画と見通し◇主力の「RC48」(disitamab vedotin)と潜在的に競合する「DS-8201」に対する受け止め――などを共有した。利上げなどの影響を反映させる形で目標株価を下方修正しつつも株価の先行きに強気見通しを継続した。
同社経営陣が示した2022年通期の売り上げ見通しは8億-10億元で、うち「RC18」(telitacicept)が3億-5億元、RC48が4億-6億元。国内でのコロナ感染の再燃がRC18の売り上げなどに影響したが、従来の見通しを据え置いた。研究開発費は2022年に10億-15億元を見込む。手元現金は2021年末時点で17億6,000万元、3月末の上海「科創板」上場に伴うIPO(新規株式公開)の調達額が約25億元。経営陣は今後18-24カ月の営業チームの拡充や研究開発費をまかなう資金を有するとしている。
RC18、RC48の「国家医療保険償還医薬品リスト」(NRDL)への採用に伴い、同社は営業部隊を急ピッチで増強しており、年末には300人、350-400人規模とする予定(前年末は132人、180人)。RC18を採用する医療機関は400に倍増する見通しという。
2022年の支援材料を見ると、RC18に関しては、◇SLE(全身性エリテマトーデス)を適応症とする4-9月のデータリードアウトと、10-12月に見込まれる国内でのフルのBLA(生物学的製剤承認申請)の提出、◇関節リウマチ用の下期のデータリードアウトと2023年のBLA申請、◇IgA腎症とシェーグレン症候群を適応症とする国内での治験フェーズ3の実施。一方、RC48に関する支援材料は、◇米国での年内のUC(尿路上皮がん)2次治療用途のBLA申請、◇米国におけるUC 1次療法用の「RC48+PD-1(免疫チェックポイント阻害剤)」の併用療法試験の実施、◇肝転移を伴うHER2陽性進行乳がんおよびHER2低発現乳がんの治験参加者の登録完了――などとなる。
一方、乳がんを適応症とする新薬承認申請を行ったDS-8201(第一三共株式会社)が、RC48と競合する可能性が出ているが、経営陣は「肝転移を伴うHER2陽性進行乳がん」を適応症とするRC48の差別化や、安全性、価格面での優位性などを指摘している。
BOCIは金利の上昇やバイオ企業の資金調達難を理由に、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に用いるWACC(加重平均資本コスト)を10%から10.9%に引き上げる半面、永久成長率を4.9%から4.0%下方修正。これに伴い、目標株価を大幅に引き下げた。国内でのコロナ再燃が特に、RC18の販促に影響するとの見方。また、2024年以降に関しては、ADC(抗体薬物複合体)療法分野での競争激化を理由に、予想売上高を下方修正した。レーティング面の潜在リスク要因としては、RC18とRC48の販売が予想外に伸び悩む可能性や、主要な治験の失敗などの可能性を挙げている。