意外なほど早い!?ショック安からの株価回復
年初からの波乱にどのような呼称をつければいいのでしょうか…この段階では「米金融引き締め&地政学的リスク」と表現するのが適当かもしれません。
直近、ロシアのウクライナ侵攻によって生じた地政学的リスクによって、日経平均は3月9日に2万4,717円53銭の安値をつけました。
その後も停戦が合意されたわけではないものの、こう着状態が継続(≒若干の事態好転との見方)していることで、約2週間後に2万8,000円台を回復しています。
ここではまず、過去の類似の下落局面における安値からの日経平均の動きを振り返っておきたいと思います。
米金融引き締めと地政学的リスクが複合する同様の局面は見当たらないものの、それぞれ類似の事例を挙げます。意外なほど早く日経平均は回復しているとの印象を受けるでしょう。
- 世界的な金融引き締め局面(2006年)
安値1万4,218円60銭(2006年6月13日)→半年以内高値1万6,811円60銭(2006年10月26日) - (原発事故を含む)東日本大震災(2011年)
安値8,605円15銭(2011年3月15日)→同高値1万137円73銭(2011年7月8日) - (米量的緩和縮小が示唆された)バーナンキショック(2013年)
安値1万2,445円38銭(2013年6月13日)→同高値1万5,749円66銭(2013年12月3日) - コロナショック(2020年)
安値1万6,552円83銭(2020年3月19日)→同高値2万3,559円30銭(2020年9月14日)
ロシア(ソ連)が軍事行動に踏み切った、あるいは介入を行った例は多く
・アフガニスタン紛争(1979~1989年)・チェチェン紛争(1994~1996年、1999~2009年)・ナゴルノ・カラバフ戦争(1988~1994年)・南オセチア紛争(2008年)・シリア内戦介入(2011年~現在)・ウクライナ紛争(2014年~現在)が主なものです。
長いものでは10年を費やす軍事行動も含まれています。ただ、その期間中すべてが株式市場の重しとなったわけではありません。
断続的な停戦や、長期化の様相を見せる中で株式市場への悪影響は薄れていったのが過去の経緯です。
西欧諸国を巻き込んだ世界大戦に発展した場合や、第二次世界大戦後は使用されたことがない「核兵器」による攻撃が行われるような事態に陥ることがなければ、今回のロシアによる軍事行動も株式市場は過去の例に倣うことになるでしょう。
ただ、この段階ではそこまでの理解に到達しておらず、「リスク」が意識されています。