コロナ感染や原材料高で2022年はやや苦戦か、M&Aが収益成長のカギに

現地コード 銘柄名
02319

中国蒙牛乳業

(チャイナ・モンニュウ・デイリー)

株価 情報種類

42.20HKD
(4/1現在)

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 中国の乳製品大手、中国蒙牛乳業の2021年12月本決算は、市場コンセンサス予想通りの水準に達した。製品構成のアップグレードやM&A効果により、下期の純利益は前年同期比21%の伸びだった。続く2022年について、BOCIは新型コロナの感染拡大に伴う一部地域のロックダウン(都市封鎖)や食品インフレを理由に、同社にとってはかなり厳しい年になると予想。「前年比10%台前半の増収」や「営業利益率の0.3-0.5ポイントの改善」という同社目標の達成は、M&Aなしにはかなり難易度が高いとしている。それでも、新製品の売れ行き好調が、業界リーダーとしての同社の高い成長力を証明しているとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年通期の売上高は前年比16%増の881億元、純利益は43%増の50億元に達した。うち下期の売上高、純利益はそれぞれ前年同期比10%増、21%増と、ほぼ市場の予想通りの数字。年率平均で10%台半ばの成長を目指すという5カ年目標(2021-2025年)の達成に向け、好スタートを切った。製品別では、牛乳の下期の売り上げが前年同期比わずか5%増にとどまる半面、アイスクリームの売り上げは206%増。東南アジアの有力ブランドAice(インドネシア企業)の買収が寄与したとみられる。

 経営陣は2022年に、10%台前半の増収と営業利益率の0.3-0.5ポイントの改善を目指す方針。BOCIはマクロ経済環境が大幅に悪化しないという前提の下、目標達成は可能とみる。ただ、飼料コスト高に伴う原乳価格の高騰により、2022年には粗利益率のさらなる縮小圧力に直面するとの見方(2021年には乳価上昇で粗利益率が3ポイント押し下げられた)。中国国内でのコロナ感染の拡大も上期の売り上げに影響するとみて、目標達成はかなり困難な道のりになると指摘している。

 こうした状況下で、一段の収益上乗せはM&Aの行方次第となる見込み。経営陣は子会社の粉ミルク大手、雅士利国際(01230)の非公開化を提案したが、3月末時点で計画の詳細を明らかにしていない。また、上海妙可藍多食品科技(600882)の筆頭株主となったが、持ち株比率が50%に達していないため、連結化には至っておらず、BOCIは連結化にはこの先一段の取引が必要になるとみている。こうした案件の詳細が発表されるまで、マーケットは国内の事業環境を懸念し、様子見姿勢を続ける可能性が高いという。

 BOCIは主に原材料費の高騰やロックダウンによる2022年上期業績への影響を反映させる形で、2022年、2023年の予想EPS(1株当たり利益)を7%、2%減額修正した。ただ、2022年のM&A取引などはこの予測に織り込まれておらず、厳しい事業環境下にあっても、同社が製品構成の改善による自律成長で、2022年も10%台後半の利益成長を達成するとの見方を反映した。2023年予想PER(株価収益率)22倍をあてはめて目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。