高収益性で際立つデベロッパー、好機の土地取得で成長持続へ

現地コード 銘柄名
00688

中国海外発展

(チャイナ・オーバーシーズ・ランド・アンド・インベストメント)

株価 情報種類

23.45HKD
(4/1現在)

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 中国政府系の不動産デベロッパー、中国海外発展の2021年12月本決算は、売上高が前年比30.4%増の2,422億元と、BOCIの予想を13.8%上回った。粗利益率は6.5ポイント低下して23.5%と、BOCIの予想を3.5ポイント下回ったが、これは2016年以降の急拡大期に買収した開発プロジェクトを計上したことが影響したもよう。通期のコア純利益は前年比4.3%減の364億元で、BOCIの予想と市場予想を各8.4%、7.5%下回った。BOCIはこれに伴い、粗利益率に関する想定値を引き下げ、2022年、2023年の予想EPS(1株当たり利益)を6.7%、7.5%減額修正している。ただ、同社のコア純利益率は15.0%(前年20.5%)に低下したとはいえ、同業銘柄の中では最高レベル。また、364億元というコア純利益を見ても、中国で最も収益性の高いデベロッパーと言える。圧倒的な財務の強さを武器に、2021年の土地取得のタイミングという点でも優れた手腕を見せ、不動産市況の回復が期待される中、成長性や利益率を維持するための良好な基盤を整えた。BOCIは同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 2021年には多くの国有デベロッパーがまとまった量の土地取得に動いたが、同社は絶好のタイミングで取得に乗り出した数少ないデベロッパーの1社だった。グループ系列会社の土地取得額は2021年に1,774億元と、同期の成約額の48%に当たる数字(一部は投資用不動産の開発に回すため、実質的には40%超)。開発後の分譲額は推定3,826億元と、2021年の成約額(3,695億元)を上回る規模となる。時期的には、同社は土地市場に過熱感があった上期に購入を手控え、市場が低迷した下期になって、取得額の63%を費やした。経営陣によれば、全プロジェクトのうち40%、あるいは下期に取得した分の50%相当は、競売時の上乗せ額がゼロ、あるいはほぼゼロに近い状況だったという。

 不動産市況の先行き不透明感を理由に、経営陣は2022年の物件販売額について数値目標を設定せず、「着実な成長を目指す」との方針を示している。ただ、BOCIは積極的な土地取得で、新たに追加した分譲可能資源が前年の成約額を上回る見通しに言及し、2022年の成約額について前年比3%増の3,810億元を見込む。

 BOCIは2021年のタイムリーな土地取得による同社の価値の上乗せを反映させる形で、2022年の1株当たり予想NAV(純資産価値)を2.9%上方修正し、35.41HKドルに設定した。現在株価は2022年予想PBR(株価純資産倍率)0.6倍、予想配当利回り5.9%の水準。際立って健全な財務や優れたタイミングでの土地取得、業界トップの収益性を理由に、現在株価のバリュエーションの魅力を指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面での潜在リスク要因としては、新型コロナ感染の再燃による不動産市況への悪影響を挙げている。