2021年10-12月期は2桁増収も赤字転落、ゲーム部門は復調

現地コード 銘柄名
03888

金山軟件

(キングソフト)

株価 情報種類

24.20HKD
(3/25現在)

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 中国のゲーム・オフィスソフト大手、キングソフトの2021年10-12月期決算は、売上高が前年同期比13%増の18億2,200万元と、BOCIの予想を6%上回った。オンラインゲーム収入の回復が寄与した形。政策的な逆風にもかかわらず、旗艦ゲームのユーザー忠誠心は高く、売り上げに勢いがあった。ただ、オフィスソフト部門を中心に研究開発費がかさみ、営業利益率が18.2%に悪化(前年同期34.9%)。全体で純損失を計上した。BOCIは国内でのオフィスソフト「WPS」の先行きを楽観。利益見通しの減額に伴い目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 10-12月期の売上高は前年比13%増、前四半期比では21%増。子会社の北京金山弁公軟件(キングソフト・オフィス:上海科創板688111)のサブスクリプション業務と新たに投入したモバイルゲームの好調が寄与した。ただ、研究開発スタッフの採用費や給与の増額に加え、政策的逆風を受けたキングソフト・クラウド関連の損失計上が痛手となり、最終損益は3億3,510万元の赤字に転落した(前年同期は5億6,520万元の黒字)。

 部門別に見ると、オフィスソフト部門の収入は10-12月期に前年同期比19%増の9億390万元。市場予想を6.5%下回ったものの、機関・企業向けのライセンシング、個人向けサブスクという両業務の持続的成長が2桁増収を支えた。一過性の給与の調整や投資損失、2020年の北京数科網維技術(Suwell)への出資による影響で、純利益率は21.3%と、前年同期比で16ポイント低下。特別損益を除く経常ベースの純利益は前年同期比37.3%の伸びだった。PCとモバイルを合わせた「WPS」のMAU(月間アクティブユーザー)は前四半期比9%増の5億4,000万人と、順調に拡大している。政府が主導する「信創」(IT応用イノベーション:当局による国産技術調達イニシアチブ)は現在のところ、政府予算や政策の変化に大きく影響されるライセンシングモデルが主流だが、同社はこのビジネスをサブスクリプションモデルにシフトすることで、継続的な収入につなげたい意向という。

 一方、10-12月期のオンラインゲーム収入は前年同期比8%増、前四半期比30%増の9億1,820万元。3つの新作の投入と旗艦タイトル「JX Online 3」(剣網三)の復調が寄与し、同社が事前に示した見通しを上回った。ただ、中国当局は現在、オンラインゲームの新規の登録認可を停止しており、2022年もこの点が懸念材料。経営陣は2022年のゲーム収入について前年比20-40%の伸びを見込みながらも、この上限レベルを達成するには、当局による認可の再開が前提になるとしている。

 BOCIはオフィスソフト、クラウド、ゲーム部門について、それぞれ2022年予想PSR(株価売上倍率)15倍、1.8倍、6倍をあてはめ、持ち株会社ディスカウント35%を適用した。目標株価を引き下げながらも株価の先行きに対して強気見通しを継続している。