2021年下期はコロナ禍で健闘、引き続き若年層向けチェーンを強化へ

現地コード 銘柄名
09922

九毛九国際

(ジュウマオジュウ・インターナショナル)

株価 情報種類

15.48HKD
(3/25現在)

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 中国のレストランチェーン、九毛九国際の2021年下期(7-12月)の純利益は前年同期比27%減の1億5,400万元と、BOCIの予想通りの水準だった。四川料理の「酸菜魚」を売りとする主力チェーンの一つ、「太二」では、座席回転率が低下する中、下期の営業利益率が20%強の水準を確保。散発的な新型コロナの感染拡大という逆風下で、高度に標準化されたアセットライトモデル(資産の保有を抑える経営手法)の弾力性と柔軟性を証明する形となった。同社はまた、若年層に訴求する新たなブランドチェーンの開拓をする方針。BOCIはサプライチェーンやITインフラの強化を通じた持続的なネットワークの拡大と営業効率の向上を前向きに評価。株価の先行きに強気見通しを継続した。

 2022年には、中小都市部を中心に「太二」150店舗を出店する計画。大都市部に比べ、人件費や店舗賃料が安い中小都市では店舗レベルの営業利益率が高く、新型コロナによるマイナス影響も相対的に小さいという。経営陣はほかに、自社ブランド資産を強みとした海外展開の可能性にも目を向けている。火鍋チェーン「慫重慶火鍋廠」(Song Hot-Pot Factory)」やグリルドフィッシュの「頼美麗」に続き、若年層にアピールする新たなコンセプトも引き続き模索していく方針。サプライチェーン、店舗経営、商品開発などの分野で、複数ブランド間のシナジーに期待しているという。

 一方、バックエンドでは、主要サプライヤーとの連携で、自前の食材調達率を将来的に80%(現在40%)に引き上げる計画。これにより、食の安全の確保や供給量・調達価格の安定化を図る。また、既存の武漢と海南に続き、北京と広州にセントラルキッチンを建設中(2023年末にも稼働へ)。南西部や東部で、さらなる増設を検討する。

 2021年下期決算を振り返ると、売上高は前年同期比22%増と、新型コロナ感染の再拡大で、上期の同113%増から減速した。ただ、サプライチェーンの効率化により、粗利益率は上期比1.7ポイント改善。既存店売り上げが縮小する中にあっても、店舗レベルの営業利益率が18.7%と、相対的に高水準を維持した(前年同期比では2.7ポイント低下)。うち「太二」チェーンは、下期の出店数が64店で、期末の総店舗数は350。座席回転率は下期に3.1回(上期は3.7回、前年同期は4.2回)に後退したものの、中小都市部での浸透や柔軟な人員シフト管理が寄与し、店舗レベルの営業利益率は20.3%に踏みとどまった。一方、「九毛九」ブランド(西北料理チェーン)の下期の店舗営業利益率は18%と、19年から進めたブランドの若返り戦略が奏功し、前年同期を0.3ポイント、上期を10.2ポイント上回る水準。座席回転率は上期の2.2回から2.8回に改善した。

 BOCIは2022年、2023年の利益見通しと目標株価をともに据え置いた。目標株価の算出ベースは引き続き2022年EV/EBITDA倍率18.8倍。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、コロナ感染の影響や商品・人件費高などを挙げている。