2021年コア利益は予想上振れ、「プレミアム化」戦略を継続へ 

現地コード 銘柄名
00291

華潤ビール控股

(チャイナ・リソーシズ・ビア)

株価 情報種類

47.95HKD
(3/25現在)

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 中国のビール最大手、華潤ビールの2021年下期(6-12月)のコア純利益は前年同期比13%減の4億2,200万元と、BOCIの予想を上回った。為替差益の計上と税額控除が主な上振れ要因。「サブプレミアム」以上の高価格帯製品の販売量は2021年通期で前年比27.8%増と目標の30%超には届かなかったが、2022年1-2月の販売も好調で、経営陣は2022年通期の目標を上方修正した。BOCIはプレミアム化の継続と物価高の価格転嫁で採算性を維持するとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

「サブプレミアム」以上に関する2022年の新たな販売量目標は、2021年実績(前年比27.8%増)を上回る伸びを達成すること。販路の拡大や業務用需要の回復見通しを理由に、「20-25%増」から上方修正した。経営陣によると、サブプレミアム以上の販売量伸び率は実際に好調で、1-2月には過去最高を記録(中でも「ハイネケン」が好調)。3月前半も力強い伸びを維持したという。同社は原材料高の影響を抑えるために価格転嫁を行う意向であり、年内にさらなる値上げに動く可能性に含みを持たせている。BOCIは長期的にも、プレミアム化が利益率の拡大を後押しするとみる。

 白酒(パイチュウ)メーカーである山東景芝白酒への戦略投資について、同社は酒業界のノウハウの獲得に大きく役立ったとしている。今後も製品構成の多様化に向け、酒業界でのM&A(買収や合併)の機会を模索する方針。販路拡大やブランド構築という点で、ビールとその他酒類との大きなシナジー効果が期待できるとしている。

 一方、2021年下期の純利益は2億9,600万元(前年同期は1,500万元)。工場閉鎖に絡む特別損失や為替差損益を除くコアベースでは、下期の純利益は13%減の4億2,200万元となる。新型コロナ感染の再燃が響き、売上高は下期に同2%減と、上期の13%増から減少に転じた。全体の販売量は6%減と上期の5%増から後退した。また、サブプレミアム以上の販売量の伸びが下期に1桁台(上期は同50.9%増)に鈍化し、平均販売価格の上昇率も4.1%と上期の7.5%から縮小。商品インフレも響き、粗利益率は上期から1.3ポイント悪化した。経営陣によれば、値上げの効果は2022年に表れる見通し。

 BOCIは粗利益率に関する想定値を引き下げながらも、販管費の低減が一部相殺するとの見方。こうした要因を反映させた上で、2022年、2023年の経常EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)見通しを10%、5%下方修正した。引き続き2022年EV/EBITDA倍率24倍をあてはめ、目標株価を10%引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。一方、レーティング面のリスク要因としては、市場競争の激化やプレミアム化戦略の遅れ、製品値上げの実行不可能、商品インフレ、パンデミックの発生などの可能性を挙げている。