2021年本決算は24%増益、高成長の「産業デジタル化」向けに投資拡大へ

現地コード 銘柄名
00728

中国電信

(チャイナ・テレコム)

株価 情報種類

2.95HKD
(3/18現在)

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 中国3大通信キャリアの一角、チャイナ・テレコムの2021年12月本決算は、純利益が前年比24%増の259億元と、BOCIの予想および市場予想とほぼ一致した。「産業デジタル化」事業の同17.8%の増収が寄与した。続く2022年には、この事業分野への設備投資を前年比62%積み増し、同社全体で2桁の増収、増益を目指す方針。BOCIは2022年、2023年の設備投資見通しを引き上げる半面、予想売上高と予想純利益を上方修正。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 産業デジタル化部門の2021年通期の売上高は前年比17.8%増の989億4,500万元と、サービス収入全体の24.6%を占めた。うちクラウドサービス「天翼雲」の売上高は102%増の279億元。中国の公共クラウド市場(IaaSおよびPaaS)における同社のシェアは2021年に9%だった。

 一方、携帯通信事業のARPU(加入者1人当たりの月額収入)は2021年に前年比2.0%増の45元。携帯通信サービスの加入者数は期末に、6.1%増の3億7,200万件。データ利用量は全体で35.4%の伸びだった。

 年間配当は1株当たり0.17元の予定であり、配当性向は60%。香港ドル換算で、中間配当がうち0.125HKドル、期末配当が0.084HKドルとなる見込みという。

 2022年の設備投資予算は前年比7.2%増の930億元。産業デジタル化ビジネスへの投資を62%増の279億元に増やす半面、5G、4Gネットワーク向け投資はそれぞれ前年比10.4%、44%縮小するとしている。

 IDC(インターネットデータセンター)事業では2022年に、ラック(IT機器の収容棚)を4万5,000台増設する計画。うち40%は共同プロジェクトになるという。同社は前年に69%だったIDCの利用率を2022年には72%に引き上げる方針。IDC向けの設備投資は65億元で、ほかにサーバ16万台の導入に140億元を振り向ける。

 経営陣は2022年も2桁の増収増益を目指す方針。ただ、産業デジタル化事業の新製品開発に照準を合わせるために、R&Dや技術開発向けの現金支出が膨らむ可能性が高く、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンは低下する見通しという。

 BOCIは産業デジタル化事業の成長見通しを理由に2022-2023年の予想売上高を7.3%、8.9%引き上げ、予想純利益を2.8%、3.6%増額修正した。半面、「2025年時点でサービス収入の約20%」という指針に沿って、2022年以降の設備投資に関する想定値を上方修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置いた。

 レーティング引き下げにつながる可能性があるリスク要因としては、米国の制裁措置による規制面の不確実性と、通信料金に関する自国政府規制が収益にマイナス影響を及ぼす可能性を挙げている。