2021年に2桁増収、利益率悪化もステアリング市場における競争力を評価

現地コード 銘柄名
01316

耐世特汽車系統集団有限公司

(ネクスティア・オートモーティブ)

株価 情報種類

 5.24HKD
(3/17現在)

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 ステアリング・システムを主力とする自動車部品大手、ネクスティアの2021年12月本決算は、新規プログラムの始動や有利な為替変動を背景に、売上高が前年比10.8%増の33億5,900万米ドルに達した。純利益はほぼ横ばいの1億1,800万米ドルと、BOCIの予想(1億3,500万米ドル)を下回ったが、これは主に下期の粗利益率の悪化によるもの。半面、新規受注は10-12月に42億米ドルと市場予想から上振れ、通期では59億米ドルまで持ち直した。BOCIはテスラや中国の新興NEV(新エネルギー車)メーカーからの受注獲得状況が大きく前進しているとし、世界のステアリング市場における同社の競争力を高く評価。利益率や利益の回復までには時間がかかるとみて、利益見通しと目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年の増収率は前年比10.8%。世界全体のOEM生産量の2.5%増を上回る伸びを達成した。新規プログラムの始動による製品構成の改善や、為替相場の変動、さらには原材料インフレに直面してきた顧客のビジネスの回復などが寄与した。仮に為替差益分(5,670万米ドル)と、業務の再開分(5,260万米ドル)を除外しても、通期売上高は7.2%増と、世界のOEM業務量の伸びを上回るペース。地域別に見ると、新規顧客向けプログラムの立ち上げやモロッコでの設備増強を受け、アジア太平洋、欧州・中東・アフリカ・南米の売上高が各26.2%、20.6%増加し、北米の3.1%増を大きく上回った。

 2021年の粗利益率は原材料や物流コストの高騰を受け、前年の13.6%から10.8%に後退した。半導体不足が続く中、下期の粗利益率が上場来最低の8.4%に沈んだ(上期は13.1%)。BOCIは複雑な世界経済情勢や地政学リスクを理由に、今後も原材料、物流コストの高止まりが続く可能性を指摘している。

 2021年末の受注残高は268億米ドルと、前年末の246億米ドルから拡大した。OEM業務の一部延期などから、通期の新規受注は59億米ドルと、同社のガイダンス(64億米ドル)に届かなかったが、NEV部門でのR&D投資が奏功し、テスラや中国の有力新興メーカー小鵬汽車(09868)からの受注獲得に成功。同じく国内新興勢力の理想汽車(02015)、蔚来集団(09866)との協業関係も大きく前進した。

 経営陣によれば、2022年の売上高はコロナ前の2019年並みか、それ以上となる見込み。BOCIは利益率の回復に時間がかかる見通しなどを考慮し、2022年、2023年の予想純利益を40%、23%減額修正。1億5,100万米ドル、2億3,300万米ドルに設定した。

 2022年予想PER(株価収益率)は11.1倍とヒストリカル平均の12.5倍を下回る。予想PBR(株価純資産倍率)は0.7倍と過去最低レベル。BOCIは同社の競争力を前向きに評価し、目標算出ベースを2022年予想PER16倍から17倍に上方修正。利益見通しの減額に伴って目標株価を引き下げつつ株価の先行きに強気見通しを維持している。