75歳まで運用し続けられるメリットを生かす
75歳まで受け取りを遅らせることができる、ということは「75歳まで非課税で投資を継続できる」、というメリットも生じます。むしろ、このことが今後注目されていくかもしれません。
DCの口座から資産を引き出せば、そのときに課税されることになり、それ以降は運用収益に課税がされることになります。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やつみたてNISAも同様ですが、DCでも同じわけです。
もし、まだDCの資産を取り崩さなくてもやりくりができるなら、あえて受け取らず非課税運用を継続することができます。
仮にiDeCoに1,000万円、手持ち資金(退職金の受け取りなど)で1,000万円をもって老後に入った場合、退職金を優先して取り崩し、銀行口座が空になって初めて、iDeCoを受け取ることができれば、非課税投資期間を延ばすことができるわけです。
ただし注意点として、口座管理手数料の問題があります。iDeCoの口座は拠出をしない立場であっても、事務費用が徴収されます。掛金を拠出しない運用指図者の場合、月66円がかかります(運営管理機関が費用を徴収する場合はそれも加味する。楽天証券は無料)。
しかし、定額のコスト設定になっているため、まとまった資産がある人にとっての「負担率」は下がります。
1,000万円のiDeCo資産を積み上げた人がいたとします。これに年792円の事務手数料がかかったとしたら、負担率は年0.00792%です。
運用益の期待リターン(もちろん非課税なので収益はまるごと自分の資産に転じる)と、この手数料が見合うと考えられれば、運用益非課税のメリットを活用し投資を継続することが考えられます。資産の半分くらいを投資信託に回し、全体で年2%くらいのリターンが確保できれば、運用益非課税のメリットが上回ります。
これがもし100万円しかない場合は、年792円は年0.0792%の手数料コストに相当します。この場合は、現状の元本確保型商品などの預金では大きな差が出てこないため、75歳まで繰り延べするより、早期の一時金受け取りを考えるほうがいいかもしれません。