2021年本決算は10%増益、航空業況の一段の改善期待もロシア業務にリスク

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

58.40HKD
(3/11現在)

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 中国銀行(03988)傘下の航空機リース大手、中銀航空租賃の2021年12月本決算は、一部地域での渡航制限緩和を背景とする航空市況の回復傾向を受け、前年比10%の増益となった。通期純利益はBOCIの予想を2.9%上回る水準。下期の貸倒引当金や減損損失が想定より小幅だったことが寄与した。ただ、上期の前年同期比65%の増益に対し、下期は21%の減益だった。WHO(世界保健機関)が渡航制限の緩和・撤廃を勧告したことで、BOCIは2022年も航空業界の復調が続くとの見方。仮に新型コロナウイルスの扱いが「パンデミック」から「風土病」にシフトした場合、同社は最も大きな恩恵を受ける銘柄の一つになるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年通期には平均負債コストが前年の3.2%から2.9%に低下し、純リース・イールド(利回り)は7.6%と、上期の7.5%から小幅に上向いた(前年実績は7.9%)。売上高は前年比6%増の21億8,300万米ドル。リース料収入は5%増加し、売り上げ全体の85.4%を占めた。

 航空業況の回復を背景に、同社は2021年下期に、金融資産関連の減損損失の一部戻し入れを実施。その結果、通期の航空機減損損失と投資損失の合計額は1億3,790万米ドルと、前年の2億3,060万米ドルから縮小した。

 10-12月期時点で、保有機材の平均機齢は3.9年。平均リース残存期間は8.3年。上期にはそれぞれ3.7年、8.1年だった。

 IATA(国際航空運送協会)の報告によると、世界の航空業況は2021年に改善し、有償旅客キロ(RPK)は41.6%と、前年の34.3%から上昇。コロナ前の2019年並みの水準を回復した。IATAは続く2022年についても、貨物、旅客需要がともに改善すると予想。オミクロン株の感染が続く中にあって、特に旅客需要が上向くとみる。

 一方、ロシアのウクライナ侵攻と西側諸国による対ロ制裁で、ロシア業務の不確実性が増している。2022年2月末現在、同社がロシアの航空会社にリースしている機体は18機で、簿価にして計9億3,500万米ドル(簿価ベースの航空機資産全体の4.8%に相当)。世界の航空保険市場では、ロシアにある機体(リース機を含む)に関する保険契約を一部解約する動きが進んでおり、経営陣は状況を注視しているという。

 BOCIは過去の事例を踏まえ、「航空会社は業況が底を打つと機体の買い替えサイクルを加速させる傾向にある」と指摘。同社の堅実なビジネスモデルを理由に、2022年には前年比31%の増益を達成する見通しを示した。ただ、ロシア事業の不透明感から、目標株価の算出基準となる2022年予想PBR(株価純資産倍率)を1.2倍から1.1倍に下方修正し、目標株価を引き下げた。レーティング面でのリスク要因として、ロシア業務の不確実性や新たなコロナ変異株の出現と重症化、抗体逃避などの可能性を挙げている。