今日の為替ウォーキング
今日の一言
相場は、とにかくまずやってみる。だめなら原因を追究する。そして修正する。この繰り返し
Uptown Girl
ユーロは、本当にタイミングに恵まれない。
投資家がドルの資産を減らして欧州の資産の投資を増やそうと本格的に動き始めると、必ずといっていいほど何らかのトラブルが発生して、投資家の欧州回帰が延期されてしまう。
2020年7月EU(欧州連合)は、新型コロナの感染大流行によって危機に瀕した欧州経済の再建を目的として、総額7,500億ユーロにおよぶ欧州復興基金の創設に合意した。この基金によってギリシャやスペインなど周辺国の破綻リスクが格段に低くなり、欧州に対してより安心して投資できるとして、米国から欧州へのマネーの移動が本格的に始まるとの期待が高まった。欧州復興基金は、単にコロナ対策の財政支援というだけではなく、ユーロ圏の結束を世界に示す重要な出来事でもあった。
ユーロ/ドルは、歴史的ともいえるトレンド反転が起き、1.06ドル台から1.16ドル台まで大幅にユーロ高に動いた。さらに2021年1月には1.2350ドルまで上昇した。
ところが2021年、欧州はワクチン接種で出遅れてしまう。いち早くコロナ禍から経済が立ち直り始めた米国では、FRB(米連邦準備理事会)が緩和縮小に向けて動き始める。一時はFRBよりもより早く金融政策を正常化すると期待されていたのに、ECB(欧州中央銀行)はいまだにマイナス金利を手離せない。投資家は欧州に本格投資するのは早すぎたという失望感でドルに戻り、ユーロは下落した。
グロースからバリューへの転換の予感で幕を開けた2022年。本来ならば、ユーロのキャリートレード(ドル建アセットをロングにする資金調達のためにユーロをショートにするポジション)の解消が進み、ユーロが反転してもよかった。実際そのサインも見えていた。
ところがそこにウクライナ戦争が起きた。欧州の地政学リスクが高まるなかで、インフレ上昇と同時並行して問題となるエネルギーの安全保障問題欧州のセンチメントが悪化、ユーロ/ドルは1.08ドル割れ寸前まで大きくユーロ安になってしまった。
EU(欧州連合)は11日までの予定で緊急サミットを開催する。エネルギー危機と経済危機に対応する共同債の発行に大きな期待を寄せている。これが「欧州復興基金2.0」となって、ユーロ再復興の起爆剤となるだろうか。